校長室から

晴れ 君たちのことを忘れていないぞ

5月23日(木) Vol.35 訪問者はこれで何人目だろう、嬉しい限りです

まだ2ヶ月も経たないのに本当に多くの生徒が訪れてくれた。複数回来てくれた生徒も含め、延べ人数で100名は超しているだろうと思う。何がきっかけだったのか、集会の挨拶で「遠慮なく来てください」と言ったのかな?写真を必ず撮影させていただくことにしている。

 A  「カンバック!先生、ただいまぁ〜」の清掃担当の女子生徒たち。一緒の写真がないねという話になり、自撮りで撮影してくれた写真。とにかく彼女たちが来るだけで、部屋がパッと明るくなる。少々ブルーな気分でも、元気が出てくる。5月13日撮影

 B  「ねぇ、本当にやるの?」何かが始まるらしい。ドアの前の廊下に4人の女子生徒。中の一人が「うっ、うううっ」と言ってうずくまり、「先生っ!、これ」と言って、胸元からゴム製の心臓を取り出している。「もう10回以上やっているんです。誕生日プレゼントにもらったとかで・・・」ぜひ校長にも見せようということになったらしい。結構、楽しかったよ。4月18日撮影

 C 「今度、応援はこれでお願いします」野球部のキャプテン、副キャプテンである。応援用のTシャツを作ったので、校長にもぜひと保護者会の方々からの心遣いなのだという。この場をお借りしてお礼申し上げます。熱い夏が始まる。3年生の君たちは、あと何日みんなと野球ができるんだろう。高校球児としていられるのは何日間だろう?もちろん、甲子園の決勝の日までだよ。5月9日撮影

 D このパターンは珍しい。クラスの代表でやってきた。文化祭での企画にアドバイスがほしいという。彼らの考えた企画に、私が詳しいという情報が入ったらしい。ちっとも詳しくないのだが、聞いてみると、とにかく面白い。創造性があって、主催側も来客側も楽しめる企画である。ここまで考えられるのはすごいと思う。なんとか実現させてあげたくて、こういうスパイスを利かせばどうだろう、隠し味は・・・。逆に混乱させてしまったかな?5月16日撮影

ピース 激しい動きの中につながりを感じる

5月22日(水) Vol.34 バスケットボールの試合 5月19日(日)県立市原八幡高校にて

バスケットボールは、「ど」がつくほど素人である。ルールも流れもわからない。そんな私が(観戦するのに)好きなスポーツとしては、一番に挙げるスポーツである。まだ若かった頃、このスポーツの部活動顧問がいないというので、白羽の矢が立ったことがある。早速挨拶に来てくれた男女のキャプテンから「先生はバスケットの顧問が初めてとお聞きしました。二人からのプレゼントです」と言ってビデオテープをいただいた。NBAの試合を録画したもの。後日彼らが「ベンチに入っている監督はみんなスーツ姿でネクタイを締めていた。先生にもそうあってほしい」(女子キャプテンがクスっと笑った)ちょっとした、からかいなのである。その気になってスーツにネクタイで公式戦の監督に出向いた。どのチームを見ても、スーツを着てネクタイを締めている監督なんていない。『やられたぁ』と思ったが、顧問である間中その姿を貫いていた。もう40も半ばになるキャプテンが我が家を訪ねてくるたびに、笑い話にしている。

こんな出会いのあるスポーツだから、応援に行くのも楽しみにしている。この日男女の試合が行われたが、午後に吹奏楽部の演奏会が控えていたので、途中で失礼した。「躍動」という言葉が似合う。コートの中で激しく動く選手たち、ベンチで大きな声で指示する顧問。激しい動きの瞬間(とき)の中で、確かに心のリレーションがあった。

市原中央高等学校バスケットボール部、ファイト!

笑う 誰もこない日もある (T_T)

5月21日(火) Vol.33 やはり来てくれた

1日バタバタしていた。昼時も部屋にいることができず、放課後の時間も来客対応でドアがしまっていることも多かった。『これじゃ、生徒たちが来てくれても・・・』と少し残念に思いながら書類整理をしていると、「先生!カンバック。ただいまぁ〜」と言って清掃担当の女子生徒が入ってきた。彼女たちは私にとって、「空気」のような存在になっている。あることが当然のように思っているが、なくてはならない存在なのである。仕事をしながら、彼女たちは清掃をしながら、自然に会話を交わしている。「この掃除機とっても使いやすいです。ありがとうございます」と、私が持ってきた使い古した家庭用の掃除機のお礼を言ってくれる。茶道部に所属している一人から、部活を訪ねてほしい、きっとみんな喜ぶと思うとお誘いをいただいた。ぜひぜひ伺います、その時にはよろしく。「ほら、いらっしゃる」清掃担当の生徒が帰って間もなく、放送委員会の生徒が入ってきた。どうやら何度か訪ねてくれたようなのだが、申し訳なかった。3年生の二人。放送コンクールの作品づくりへの協力依頼である。金曜日の放課後に訪ねたいので、今日はアポ取りだけ。せっかく来たのだからと無理やりお付き合いいただいて、粗々の構想を聞いた。これまたすごい企画である。妙に奇をてらって無理を承知という安っぽいものではない。身の丈に応じた、そしてちょっと難易度の高い「挑戦」が感じられる企画である。話の中で「オノマトペ」(擬音、擬態音)のことを話した。二人ともこの語彙があった。目の前に座っている生徒たちが「すごい」を感じさせた。いいね。金曜日楽しみにしているよ。

音楽 魂のシェア・外伝

5月20日(月) Vol.32 まだ冷めやらぬ余韻

疲れているのに眠れない。興奮が目を冴えさせている。そんな夜を過ごした経験は誰にでもあるだろう。しばらくの間忘れかけていた、若い血潮の躍動。一つ事に夢中になっている者のもつ尊厳。よかった、素晴らしいステージだった。「本当にすごかったですね」見知る人が語りかけてくれる。見送りの列を作った吹奏楽部員の背中が、またひとつ大人になったようにも見えた。顧問の先生が、さぞ疲れているだろうのに、わざわざ歩み寄って来て、慇懃にお礼を述べてくださった。お疲れ様、そしてありがとう。心からそう述べたい。

   「魂のシェア」という言葉は、一人のアメリカ大陸の先住民の血を引く若者が教えてくれた。シルクドソレイユの「トーテム」に出演している。中休憩の混雑する待合室のモニターに彼が映し出される。「血を引く」が直ちに感じられる浅黒い、私たち日本人に似た顔つき。モニターの中の彼は語る。私が祖先の人々がそうしたように、神々との交流の所作を舞台で演ずる時、それは見世物として(ショー)として演じているのではない、我が民族の「魂のシェアである」と語る。この言葉を語らせる背景には、筆舌に尽くせぬ苦悩に満ちた日々があったに違いない。踊りながら「我が魂の尊厳何処に・・・」と考えたかもしれない。時にはあらぬ言葉に傷ついたかもしれない。自分に言い聞かせるように語った言葉かもしれない。しかし私には説得力があった。生徒の奏でる音に涙するのは、熱く駆け抜ける青春の魂の躍動がシェアされているからだ。この日お越し下さった皆さんもきっと琴線を慄わす「何か」をお感じになったことであろうと思う。

市原中央高等学校の生徒たちに、喝采。

音楽 熱く駆け抜ける3年間の魂のシェアである

5月19日(日) V0l.31 第10回 吹奏楽部定期演奏会

 本日はご来場ありがとうございます。ようこそ市原中央高等学校吹奏楽部定期演奏会へ。
 突然ですが、皆様は音楽に涙されたことはあるでしょうか。私には、はっきりと認識できる経験が一度だけあります。ある高校に勤務していた頃のことです。早朝も夕刻の遅い帰りも、ほぼ同じ時刻になる吹奏楽部の部長が、関東大会出場の楽曲が仕上がった、ぜひ私に聴いてほしいと誘ってくれた時のことです。素人にもその難しさがわかる楽曲を披露してくれ、聴いているうちに涙がこぼれてきました。もちろん初めての経験です。気付くまでにそれほど時間は必要ありませんでした。部員たちのこの音を生み出すまでの強い意志と忍耐、向上心そして支え合う力、それらの総和が楽曲を通じてシェアされているのでした。それが涙腺を刺激しているのです。
 着任して日が浅いのですが、本校吹奏楽部の諸君の日頃にも、既に同じものを感じています。今日のこの時空が設けられることに感謝し、聴く者の琴線を大いに刺激してください。ご来場の皆様、生徒たちの奏でる音にきっと感動していただけけることでしょう。それだけ本校の吹奏楽部の音は上質です。ぜひ彼らの熱く輝く「瞬間」(とき)に、喝采をお願いします。

パンフレット巻頭のあいさつから

了解 Global・Leader育成中(英語コース)

5月17日(金) ほぼ毎日Vol.30 4つのPと3つのリーダー資質

米・マサチューセッツ大学のMITラボの所長は日本人・Joiである。彼は「クリエイティブな学びには4つのPが必要である」と唱え、それを実践している。Project・Peers・Passion・Play。このプログラムにはその全てが揃っていた。そして育成には難しいとされるリーダーシップの三要素「率先垂範」「同僚支援」「方向性の指示」が見事に個々の生徒によって表出された時間が過ごされている。担当の先生から「3年間の集大成です。ぜひ」というお誘いをいただき、のぞいてみた。市原中央高等学校の英語コースは、単に英語を学びに来るところではない。これから生きていく社会において、求められる力(グローバルリーダーシップ)の育成と必須言語としての英語、その学び融合にもっとも価値があることがわかった。見事に目標設定と段階を踏んだ学びが企画されれいる(Project)、机に向かってチョークアンドトークの一方的学びでなく、主体的協働的な学びの仕掛けが随所にある(Peers)、夢中になったことがよくわかるプレゼン(Passion)、プログラムの間中笑顔と笑いが絶えない(Play)素晴らしい瞬間(とき)を過ごしている。

また一つ本校の教育の素晴らしさに触れた。そしてやはり一番の自慢は生徒であることを確認した。

*来春、本校の英語コースは、その学びにふさわしい「GLC(グローバル・リーダー・コース)」に変わります。

本 1册のノートから

5月16日(木) Vol.29 大切にしているんだ、大切にしてもらっているんだ

放送委員の1年生が教員に連れられてやって来た。何度か訪れてくれたようなのだが、タイミングが悪かったという。事務にいた教員が対応し、今日の日なら大丈夫という約束をしてくれていたのである。顔を見ると、昨日、東京大学・早稲田大学に一緒に行った生徒である。放送委員会に所属していて、NHKのコンクールにエントリーする取材をしているという。手に持った手帳、机の上にはボイスレコーダーがわりのiPhone。『すごいな、本格的だな』と思いながら、取材に応じていた。質問と回答。その中に彼が雑談風に入れる合いの手。ちょっと気になる話題は、自分なりに換言した言い回しで理解を確認する。物静かだけれども、口調に彼の強い頭を感じた。取材の間気になっていたアイテム(大切そうに使っているハードカバーのノート)について尋ねると「お気に入りなんです。父が買ってくれました」と答えてくれた。大切にしているんだ、そして大切にされているんだね君は。ふと自宅の机の引き出しに眠っている、何かの折にApple社から頂いたノートのことを思い出した。長い間使われることなく放置されている。彼の親子の「大切」が羨ましく、ちょっと介入したくなった。私の気まぐれで放置されているノートにも「大切にされる」時を過ごしてもらおうと思った。

君の高校生活は始まったばかり、いい瞬間(とき)を重ねて豊かに過ごしてください

? 5人のクマ子さんたち

5月15日(水) Vol.28 会話が楽しい

早稲田の見学を終えて、帰路につく地下鉄の中。一緒の車両に乗った5人の女子生徒が話しかけてきた。「校長先生、制服どう思います?」この婉曲的な言い回しの中に、肯定的な洞察を求めるかすかな意図が感じられる。(ねぇ君、何を話してるの、だからさ聞き取れないよ、もっと大きな声で、もっと大きな声で・・・[これが分かる世代には、それだけで状況を掴んでいただけるであろう])同じ場面には、教員生活の中でなんども出会っている。その度に「ただ可愛くしてほしい」「変えてほしい」という願望だけを聞かされるのだが、この子達は違った。願望とともに、理由と具体的解決案を持っていた。それに驚きながら、危惧されることを提示してみると、かなり包み込むようにストレートな表現を避けたつもりなのだが、ズバリこちらの真意を受け止め、「その辺りは、もうちゃんと自分たちで管理できると思う」という答えが帰って来た。「そうか、じゃあ変え方、変える手順はどうあればいいかという段階だね」「なるほど・・・」と会話しながら『すごいなぁ、真摯に受け止めてあげなきゃ』という気にさせる会話だった。

言葉のキャッチボールができる生徒っていいね

*念の為:彼女たちは早稲田大学で、クマの被り物を被ったわけではありません。ちょっとお遊びで画像処理をしただけです。念の為。

晴れ 輝いている目が眩しい 

5月15日(水) Vol.27 Ⅰ類・校外学習

心配された雨も去り、校外学習にとっては好天に恵まれた。訪問したのは東京大学と早稲田大学・慶應大学。午前中の東京大学では、大学内にある動物病院にお邪魔し、研究に当たっている皆さんの活躍の様子を拝見したり、魚類の研究をしている先生の興味に満ちた知的探求の実践に触れることができた。「東大はね、14トン/1月の海水を購入しているんです」淡水魚と海水魚の話、温泉トラフグ、第一線で情熱を燃やしている先生方の姿に直に触れた生徒たちの目は輝いていた。

笑う 支えていただいている実感

5月11日(土) V0l.26 保護者会総会

本当に大勢の保護者の皆様の参加があった。本校の教育活動へのご理解とご協力を強く感じた。お集まりいただいた保護者との協議からは「学校も、ソサエティ5.0社会の到来や、働き方改革関係法案の順次施行等、社会の大きなうねりの中で、教育活動推進がこれまでと同じでは済まされない難しい局面にある。今こそ学校、家庭が連携を密にして臨まなければならない時である。保護者会として協力を惜しまない」というありがたいメッセージをいただいた。本当に嬉しいことである。今後ともよろしくお願いいたします。ご挨拶の中で、たくさんの生徒が校長室に来てくれ、その数のべ80を超えることと、そこで交わされた会話、エピソードをお話しさせていただいた。全体の行事が終わり、部屋に帰っていると「こんな感じで覗いて行くんですね」と言って、ドアから顔を出してくださったお父さんがいた。「うちの息子にも来るように言っておきます」ぜひぜひどうぞ。その後正門近くに立っていると「◯◯中学校の教員です。先生のドーナツの穴のお話し伺ったことがあります」と声をかけてくださるお母さん。「覚えてないでしょうね。◯◯高校で教わった教え子です」という保護者の方。繋がりってあるんですね。懐かしくもあり、嬉しくもあり。一人ウキウキしていると、女子生徒が、「じゃあね」と言ってハイタッチをしていた。感じていた「つながり」を表しているように見えて、一枚撮影させてもらった。ほら、こんなにいい絵が撮れました。

イベント 望んでいた雰囲気なのです

5月10日(金) Vol.25 行きますよ〜、フードカルチャー同好会

校長室のドアを開いていると、時折甘いいい香りが漂ってくる。誰かが何かを作っている。それも「お菓子」。以前勤務していた高校で、服飾デザイン部と調理研究部がセットになった活動場所が、部屋の近くにあり、そこに集う生徒たちと随分仲良くさせてもらった。「先生、カレーパン!」「センセー、クリスマスケーキ。これはワンちゃん用」愛犬にまで差し入れをしてくれる生徒たち。お礼は、ファッションショーに言われるがままの格好をして出演すること。楽しかった思い出が蘇る。香りに誘われて、2階に上がると、いたいた、フードカルチャー同好会の生徒たち。すでに1年生も先輩と一緒に活動している。文化祭での出し物を制作実験中とか。みんなが笑顔で迎えてくれた。おまけに試作品の試食。美味しかった。お世辞抜きで美味しかった。「先生、お誘いしますから、また来てくださいね」嬉しい。餌付けされた野良猫のように、ゴロゴロ喉を鳴らしていたような心地よさである。

楽しくなければ学校じゃない。望んでいた雰囲気を実践している生徒たちがここにもいた。

グループ 打ち上げパーティではありません

5月9日(木) Vol.24 こんなに美しい気持ちを持っていただろうか

昼休みに男子生徒の一団が来た。「おや?珍しい」と思っていると、手にお弁当を持って遠慮がちに入ってきた。「いいよ、昼休みぐらいしか先生が捕まらないいんだね。ここで昼食摂ればいい」と声をかけると、持参した弁当を広げ、むしゃむしゃ食べ始めた。せっかくだから写真撮影。「あぁ、今日は母が手抜きだと言っていました」(それにしては豪勢なお弁当です)ふと高校時代のことを思い出した。隣の友人の弁当がやたらに豪勢で、卵焼きがふんわりしている。看護師をしていて、朝時間のない母が作る弁当は、のり弁か日の丸弁当。それでも美味しかった。ポツンとその事情を呟くと、一緒に昼食を摂っていた友人が、「これお前の分だって、お袋が」と言って、翌日ふんわり卵焼きを持ってきてくれた。嬉しかった。何日かに一回、自分と同じおかずを持ってきてくれる。遊びに行ってお礼を述べると「喜んでもらえたら・・・」という、おばさんの言葉を遮るように「俺が作れって言っているんだ」と友人が言葉を挟んだ。今でも付き合いがある。お母さんはなくなったそうだが。彼らの弁当で、いい思い出を思い出させてもらった。

「で、来たからには、何か目的があるのだろ」と問いかけると、如何ともしがたい、やるせない思いを語り合っているうちに「そうだ校長に聞いてもらおう」という気になったのだという。(内容は彼らと私だけの秘密)一緒に高校生活を送って来た仲間に有終の美を飾らせたい。大きな壁があるし、それはどうすることもできないものであることも自覚している。『しかしなぁ・・・』何がどうなるわけではないが、聞いてくださいよ。堂々巡りの思い。同じ場所をくるくる回るメリーゴーランドのようなもの。話を聞いていて、そんな彼らが羨ましかった。「いい経験しているよ。だでれもできるものではない。私が何をしてあげられるわけではないが、『だめ』という結論を出してしまっているものにチャレンジしてみればどうだろう。互いのつながりや思いを確認するためにも。結果として『だめ』であっても、この『なかま』『ともに』はより強い『絆』となるのではないか」というほどのことを語った。いいアドバイスになったかどうかわからないが、リーダー格の生徒が、「やってみるか。ダメだったらごめんな。」と渦中の友人に語りかけていた。語りかけられた生徒は「ありがとう」とつぶやいている。高校時代に、こんな美しい気持ちを持っていただろうか?

市原中央高等学校生徒の保護者の皆様、お子様はいい成長していますよ。いい学校です。

雪 ここには100点達磨がいた

5月8日(水) Vol.23 創立来生徒を応援してきた

朝の打ち合わせが終わって、担任の先生がHRに向かう。外を眺めると、快晴の空に山々の新緑が眩しかった。爽やかないい朝である。一人の先生が、眺めている私の様子をみて「いい天気ですね」と声をかけてくれた。ささやかな一言だが、こういう会話って大切だと思う。校長室にきたある先生が、私の文章を読んで「言霊」の話をしてくれたことがある。『読んでいてくれたんだ』という嬉しさと、コトダマというもう古語になった語句を共有できる喜びを感じたのだが、今朝のこの先生の言葉にも「コトダマ」が宿っていたようである。いい朝、いい一日の始まり。校長が難しい顔をしていては、学校が暗くなる。いい1日になりそうである。声がけをくださった先生が思い出したように、「校長先生、ご存知ないかも知れませんが、本校には100点達磨がいるんです」といって、足元の引き出しから、手のひらサイズの達磨を出して見せてくれた。各考査のテストで、100点満点を取った生徒に贈られるものだという。創設者の故・真板益夫先生が考え出したものらしい。「頑張っている姿は美しい」少しの励みになればというお考えであったに違いない。毎年ダルマ獲得に意欲を燃やす生徒もいるという。1年生諸君、初めて聞く話かも知れないが、ぜひ狙ってみてはいかがですか。つまらないことでも夢中になるpassionって大切ですよ。

重要 南の海での経験を話そう

5月7日(火) Vol.22 たった一度の経験が命を救う

避難訓練が行われた。様子を拝見していてますます「うちの子」が好きになった。担当の先生が、放送を入れ、避難を開始してからのタイムを図っている。「昨年度は8分30秒くらいでした。今年は7分15秒です」競い合うものではないが、訓練とはいえこの時間で1000名近い人が移動を開始し、整然と整列を完了できる。すごいことだと思う。さて、校長の出番である。実は連休でこの行事を忘れていた。(告白、申し訳ない)当然、講評を忘れている。南の海での貴重な経験を話すことにした。新聞委員の諸君、原稿が遅れてごめんなさい。

1分前の話が人の命を救った

南の海が好きで、年に何回も海に出かけていた。趣味の水中写真を撮影することが目的である。インド洋の小さな島で出会った日本人の若者のこと。彼は経験が豊富らしく、船の上で懸命にレクチャーをしてくれる。はるかに経験の豊かな私は、少しあしらうように彼と話をしていた。移動中のボートの上でウェイトをつけるのはよくない。そのまま落ちると、死が待っている。そんな話になった。「その時はね。こうやって・・・」と実演をして、対処方法を彼に説明して間もなく、大きな波を受けたボートがぐらりと揺れた。すでにポイント近くに来ていたので、私と話をしていた彼もウェイトをつけている。二人とも海に転落した。透明度の高い真っ青な海の中で、私より数メートル先を彼はどんどん沈んでいくのが見えた。数メートル潜ると、水圧でウェットスーツが縮む。加速をつけて、落ちるように潜行していく。苦もなくウェイトを外した私の脳裏に、若者の「死」が浮かんだ。『覚えていてくれればいいが・・・』なすすべなく浮上した私から15メートルほど離れたところに、数秒遅れて彼が浮かんできた。咳き込みながら「ウェイト、ちゃんと外せました!」と彼が叫んでいる。

彼と船上であの話をしなければ、一回の会話による疑似体験が彼になければ、命を落としていたかも知れない。訓練や練習とはそういうものだと思う。ことさら意識はしないが、自分の体は学校の机に入りづらいのだとか、この経路を使って避難場所にいくのだとか、一度実体験しておくこと、イメージしておくこと、それが命を救う。私のような経験をするものは少ないかも知れない。何事もないに越したことはない。しかし、有事に自らを救うのはこうした事前の経験なのである。その「訓練」に真摯に、静かに臨めた君たちは素晴らしい生徒たちである。

晴れのち曇り 楽しんでいるだろうか?

4月25日(木) Vol.20 DisneySeaへ

 今日は全校生徒がTDSへ。私はお留守番でした。見送っていると、「先生はどのバスですか?よかったら来ませんか?」と声をかけてくれる生徒もいる。(大人気なく)一緒に行きたい! 晴れ男の私。天は味方してくれたようで、出発時には小雨だったが、すぐに西の空に薄陽がさしてきた。みんな楽しんでいるかなぁ。

後日・・・あるクラスのクラス新聞が回ってきた(抜粋)。楽しんでいるようだった。よかった。

①絶叫系のに乗れない私に合わせてくれて、嬉しかったです。(その想い大切にね

②ステラルーのぬいぐるみゲットした(知らないうちにキャラが誕生していた

③シンドバットのアトラクションに◯◯先生がいた(よく似ているが違う。先生は学校にいた

④チュロスは3本目からがきつい(無理をしないで、校長先生に相談してください

⑤いろんな先生と写真撮れた(よかったねえ)

楽しいひと時を過ごしてきたようで、何よりです。お疲れ様。

笑う アジアが好きだ!

4月24日(水) Vol.19 ベトナムからのお客さん

ベトナムのFPT大学からお客さんがあった。シンガポール、マレーシア、インド、スリランカ、インドネシア、モルディブ・・・、アジアは美しいと思う。いい思い出ばかりで、自分もアジア人の一員でありたいと切に願う。日本ともっともっと交流を深めたいと思っている国がある。ありがたいことである。写真で私と握手してくださっている方は、大学のグローバル・ディレクターを務めているCuong Hoangさんである。国際化推進センター所長のようなもの。日本への熱い想いを語ってくださった。茶道が好きで、大学にも茶室があるという。大学では、カリキュラムの中にJapanCultureProgramがあり、日本の言語や文化を多くの学生が学んでいるという。写真の一番右に立っているのは、Nguyenさん。日本に憧れ、君津学園に留学していた青年である。留学の頃の話を上司にすると「是非に・・・」と今回の訪問になった。私たちは彼らのこの姿勢に学ことが多いと思う。日本の◯◯を伝えるとか、◯◯指導などといったことではなく、真にアジアの一員として、パートナーとして、互いにをリスペクトしながら手を携える、そんな関係、そんな交流があってほしいと心から思う。高校生がベトナムを好きになり、FPT大学で学んでくれるなら、スペシャルプログラムで人材育成するといってくれた。彼らの持っているキラキラ輝く希望に満ちた目を、私はいつか失ってしまったような気がして、少し恥ずかしかった。「これから積極的に交流しましょう。良きパートナーとして、AIにできない温もりの交流、やりましょうよ」思い、伝わっただろうか。

FPT大学は、大手ICT企業「FPTコーポレーション」によって設立された首都ハノイに本部を持つ私立大学で、2016年度のQS世界大学ランキングでは、高い評価を受け、5つ星を獲得している大学である。

音楽 顧問の先生と仲良くしてる?

4月23日(火)Vol.18 多彩な訪問者達

打ち合わせが長くなり、昼休みの時間まで食い込んでしまった。30分を過ぎる話し合いは、大抵の場合何も生まれない。『もうそろそろ終わりにするか』と思っていたら、開けていたドアのところに人影がある。見えるのは私だけ。「おーい、どうした?」と声をかけると、「いえ、あらためます」といって立ち去ろうとする。良い機会にして、打ち合わせを終わりにした。

入ってきたのは、テニス部の男子2人組。男子がくるのは珍しい。色々と話をしているうちに、一人が「国枝選手とプレイしたことがあるんです」と言い始めた。私の知る限りでは、テニス・・・国枝といえば、車椅子のパラ・テニス、シングルスグランドスラム◯◯回達成したあの人である。彼の話では、到底勝てなかった。パラのツーバウンドルールでなくても、まず無理だったとのことであった。貴重な経験しているなぁ。ところで君は、何者なんだ?

次の訪問者も男子だった。新聞委員会の二人が原稿依頼にしてくれた。部ではなくて、委員会。クラスの中で選出された役割分担での訪問である。しっかりと務めを果たしている。集団の中の一人として、自分が担うべきものをしっかりと受け止め、責任を持って遂行する姿に、安心を感じた。この自覚は、現役で社会を担っている大人だって、なかなか難しい。この学校の日常で育みたいと思っているものが、ちゃんと身に付き始めているようで嬉しかった。

最後はとても明るい女の子2人、吹奏楽部の女の子だ。一人はフルート、一人はクラリネットをやっているという。お願いがあってきたのだという。「そうそう、一度彼女に会いに行きたかったんだ。毎朝練習している・・・」二人が怪訝そうに顔を見合わせている。「ブログ(Vol11)に書いた・・・、あっ読んでないか?」と語りかけると、「いいえ、わかります。でも・・・彼、◯◯君です」と名前を教えて、クスクス笑い出した。私の中で、勝手に「彼女」に仕上がっていたのである。しかも可憐な乙女が、うまく弾けない曲を・・・と説明し、みんなで大笑いした。「で、お願いってなに?」吹奏楽部の定期演奏会のパンフの原稿依頼だった。「うーん、顧問の先生と仲良くしている?」とひやかすと、「とーっても仲良いです」「大好きです」と即答があった。「どうしてですか?」もうすでに顧問の先生にお渡ししてある原稿を読んで聞かせた。自分たちが率先垂範して、定期演奏会の準備をしようという責任感と、顧問の「この部員のために・・・」という思いが交錯したエアポケットのような瞬間(とき)だったのだろう。なんだかいい雰囲気だね。素敵な午後が過ごせました。感謝。

驚く・ビックリ サッカー部の試合前の調整練習に伺った

4月22日(月) Vol.18 いい環境に感謝の気持ちを

先週の金曜日、本校の強化部活動であるサッカー部の試合前の調整練習を見に行ってきた。「行ってきた」でお分かりのように、学校から少し離れたところに練習場がある。ゴルフ場が、地域スポーツ振興への貢献にと整備して、一般に貸し出している施設である。生徒たちは日課が終了すると、直ちに更衣を済ませスクールバスに乗ってやってくる。短い限られた時間に効果的な練習をするために、一人ひとりの自覚が大切になってくる。もう少し早く伺うつもりであったが、午後5時30分を過ぎてからの訪問になった。防球ネットを潜るようにして中に入ると、ドリブルやパス練習をしていた生徒が、大きな声で挨拶をしてくれた。「いいところですね。こんな環境をいただけるなんて幸せですね」と語りかけると、声を揃えるようにして「はい、感謝してます」と応じてくれる。『これはいい、この挨拶とこの会話ができるなら大したものだ』と思いながら練習を見ていると、今まで見てきた高校生サッカーと一味もふた味も違うスピーディな動きが感じられた。声出しもできている。『2部リーグってやはりステージが違うな。いいなぁ』と思いながらしばらくいた。いつの間に駆けつけたのだろう、校務を終えてやってきた顧問の先生が「ありがとうございます」と慇懃に挨拶をしてくださった。率直な感想を述べると「まだまだこれからです。10年はかかると思っています」と語った。週末の試合、ぜひ頑張ってほしい。熱く駆け抜けている部員たちの声を聞きながら、会場を後にした。

にっこり 最高の褒め言葉をいただいた気がする

4月21日(日) Vol.17 締めは彼女たち

先週の金曜日にはたくさんの訪問者とたくさんの交流があった。昼休みに美しい歌声を聞かせてくれた合唱部の二人連れ。校長室を訪ねてくれた人を、いつも同じところで写真を撮影するので、今日は場所変え。「君、この椅子に座って、君はその横に立って」と指示をすると、ためらいがあった。小さな心の動きなのだが、「わきまえ」が感じられた。「いい歌声だったね。ありがとう。もう少し人数がいるともっと楽しいかも」と語りかけると、3年生の男子が目を輝かせて「今年の1年生は多いんんです。10名ほど入ってくれるそうです」と語ってくれた。嬉しいね。ぜひ可愛がってあげてください。

校長室のすぐ近くに生徒会室がある。いつも誰かしらコトコトと仕事(?)をしている。綺麗に片付けられた机の上が、役員たちの仕事力を物語っている。「先生、机の上を片付けなくても、四角くすればいいんですよ。ほら」といって教えてくれたかつての教え子のことが頭に浮かんだ。6月にある文化祭のテーマ決めに忙しいのだそうだ。6つほどの候補が黒板に綺麗な字で書かれている。「チョークでこれだけの字をかけるのはすごいよ」お世辞抜きで褒めて、候補を写真に撮ろうとすると、「ダメダメ、まだトップ・シークレットなんです。ブログに載っちゃうでしょう」と撮影許可が降りなかった。元号発表と同じ厳重な体制が敷かれているようだ。いいテーマになるといいですね。楽しみにしています。

「先生、来ましたぁ。大きなこえで明るくやってくるのは、清掃当番の女子2人。これ捨てていいですか?と開けたこともない引き戸の中から「ゴキブリ◯◯」を取り出した。「ワォ、捨てて、捨てて」机に向かっている私と、常に会話しながら一生懸命清掃に取り組んでいる。私が何をやっていても邪魔にならないBGMのような会話である。先日模試があったとかで来なかった日は、何か物足りなかったので、どこかで私も楽しみにしていたのであろう。一週間ご苦労様でした。ありがとうございました。ドアをでるときに、「先生、ブログ読んでいます。結構みんな知っていて読んでいるみたいです。」「嬉しいけど、評価が聞きたいなぁ。校長なんだからもっと気の利いた・・・なんて言ってなかった?」「いいえ、『結構文才あるんじゃない』と褒めてましたよ」なんだかちょっと複雑な気持ちだが、最高の評価をいただいた気がする。 

了解 シナントロープを見つけた

4月20日(土) Vol.16 朝の光景も清々しい

 昨日の朝、昇降口から大きな挨拶の声が聞こえるので部屋を出てみた。登校する生徒たちと教員が挨拶を交わしている。快晴の朝だっただけに、その声がまた清々しく感じた。一人の生徒が私に気づき、笑顔で挨拶をしてくれた。その朝の空気と「さやけさ」を切り取りたかった。なぜか下駄箱から上履きを取り出している後ろ姿の切り取りが、朝のスタートとしてそれを叶えてくれるように感じ、挨拶をしてくれた生徒に被写体になってもらった。「あっ、はい、いいですよ」とポーズを取ってくれた。ありがとうございました。いい朝の始まりを感じながら2階に行き、ちょっとお気に入りの「天空の廊下」(生徒棟から体育館への渡り廊下)に向かった。よく晴れていて、見上げると青い空に雲が美しく浮かんでいる。水底から水面をみているような錯覚すらある。先ほどの生徒からもらった清々しい空気の余韻に浸りながら、ぼんやり眺めていた。すーっと小さな黒い影が横切る。「ツバメだ」目で追うと、バスの停まる昇降口前の地面をすれすれに飛んで、職員昇降口の方に飛んでいった。昇降口の屋根に巣を作っている。ツバメのように人の生活環境に依存して生きる生き物を、シナントロープというそうだ。昔からこうした動物に対し、人は「共に暮らす」意をしっかりと受け止め、一歩譲って「どうぞ」という敬意を払ってきたように思う。ある場所で、糞の害を理由に、作る巣を壊しているのを見て残念に感じたことがあった。本校は?ちゃんと「どうぞ」を大切にしてくれていた。ここでもいい朝を感じる瞬間(とき)があった。感謝。