2019年8月の記事一覧

! 君は陸上競技部だったの?

8月30日(金) ほぼ毎日校長 Vol.96 すごい成績なのです

 ここのところこのブログに登場してくれる彼女。選手表彰の時「陸上競技部◯◯さん」と呼名があって目の前に立っている。『おっ、君は陸上競技部なんだ』と思った表情を読み取ってか、賞状を読み上げている間、ニコニコ笑顔を振りまいていた。集会が終わってからかうと、「壇上に上がった途端、友人が後ろで話しているのが聞こえたんです。でも先生、すごいでしょ。自己ベストなんですよ」と表彰状を誇らしげに掲げてくれたので、パシャリ。「綺麗に?可愛く?写っていたら、そのまま載っけてOKですよ」と許可をいただいた。機転が利いて、言葉のキャッチボールができる、話をしていて楽しい生徒である。

夏休み明けの校長講話

今日の話は2つ
一つは、「夏をありがとう」、もう一つは「今までのことは・・・」という話。

先ずは、本校の全生徒に、「いい夏をありがとう」と言っておきたい。
「野球」夏の大会、県ベスト4。101回目の新しいスタートの大会でのすごい結果を叩き出した。よく頑張りました。あの頑張りは、それだけでなく、本校の生徒の素晴らしい力を見せてくれた。魅力的な姿をたくさん見せてくれた。
その意味で、さらに感謝なのである。仲間のそんな力を引き出す野球部の諸君の活躍は、私の自慢です。
「女尊男卑」、放送委員会、全国準優勝、おめでとう。クスッと笑える仕掛け、「あるある」と納得させるワナ、シリアスに考えさせる深み、なんとも「持てる総和」としての味のある映像をありがとう。表面的に現れてこない、本校生徒の「味わい」をじっくり。仕込みのいい目にも美しい日本料理を食べているような、そんな贅沢で味わわせてもらった。
すごかった。
いいね。本校生徒。素晴らしいね、市原中央高等学校。

ブログの86や89を読んでいただいてわかるように。私の故郷は関西、瀬戸内です。夏が白い。砂のせいか、真夏の昼下がりは、風景が揺らぐように真っ白になる。鍵っ子だった私は、広場でみんなと遊んでいて、家々から「〇〇ちゃん、ご飯よー」と呼ばれて、友達たちが一人、また一人と帰っていく。ご飯の後はお昼寝。今度みんなが集まるのは、夕暮れ時なのである。一人残った私が、大きな柿の木の下で座って、誰もいない広場を眺めていてその頃に感じた「夏の色は白」。
焼け付くような夏に郷里に帰り、そんな思い出を思い出し、黄金色に輝く瀬戸内の海を見て、受験生だった頃のことを思い出した。旺文社のラジオ講座というのがあって、同級生はみんなそれを聴いて勉強していた。世界史や日本史の代わりに数学で受験しようと考えた私が聴いていたのは「勝浦捨造の数学講座」。大丈夫かこの爺さんと思わせるような声。受験勉強講座なのに、どこか精神論中心の講義。確か東北大学の助教授だった。彼の口癖のようなトークは今も忘れない。「受験生の皆さん、今までのことは一切問いません。これからです。」クラスのひょうきんな仲間が、授業中に答えられなかった同級生の困る姿を見て、やおら立ち上がり、「〇〇くん心配するな『今までのことは一切問いません。これからです』」と大声でモノマネをして、笑いをとりその場をなごましていた。
あの言葉、どこか支えになっていた。最近、脳科学者が同じようなことをTVで言っていた。「今まで」にこだわったり「あの時こうすれば」と執着しても、力は伸びない。今ある現実をしっかり受け止め、何ができるかを考える時、人の脳は思わぬ力を発揮する。
特に3年生諸君、辛く苦しい時が続く。今日という日を、現実をしっかり受け止め、受け入れて、スタートを切るそんな節目にしてはどうか。

?! 名優たちが監督とクマを連れてやってきた

8月28日(水) ほぼ毎日・校長 Vol.95 クマの正体は・・・

 夏休みもあとわずかとなって、生徒の影も少ない校舎をぐるっと回って部屋に戻ると、3人の生徒が待っていたかのように来てくれた。「女尊男卑」を演じた名優二人と、監督を務めた放送委員会の委員たちである。準優勝の報告に来てくれたようである。「山崎さん」を演じた彼女。映像の中のイメージと全く違うのである。はにかみながら、ふふっと笑う癖のある笑顔の素敵な彼女。「演じていて楽しかった」と感想を述べてくれた。彼女のイメージのギャップは、プロの役者さんやアスリートがみせる平常と舞台、生活時間とフィールドの違いのそれである。冗談で「日頃の放送室内のドキュメントだったりして・・・」とからかってみると、男子二人が顔を見合わせて、ニヤニヤしている。「えっ、ズバリそうなのか?」とさらに突っ込んでみる。「いえいえ、受賞のインタビューで、監督である僕が、先生と同じような発想で『映像中の「山崎さん」は、本校放送委員会のドキュメントです』とジョークを言って笑いをとったんです」と語ってくれた。ふとした機転で「笑い」「ユーモア」をその場に加えられるってすごい力だと思う。あの映像がこの監督、この名優たちのもとに出来上がったことがよくわかった瞬間(とき)だった。
 「もう一人は?」と思っていると「山崎さん」が気づいたのだろう、「男優の一人は、・・・クマ・・・」と教えてくれた。いま「山崎さん」に「ガツン!と一言、言ってやる」と勇気を振り絞っていた彼は、クマの写真撮影中なのだそうである。LINEで監督に送られてきた写真を見せてもらっった。スゴイ!掲載させていただいたのはスマホからの写しなので画像が荒くなっているが、プロ顔負けのいい瞬間を撮影している。『くそー!いい写真撮ってやがる』立場も年齢もかなぐり捨てて、写真大好きな私は、心から羨ましく思った。

こうした感性の協働(交わり)があの素晴らしい作品を誕生させているのだ。市原中央高等学校生、いいね。

 全国準優勝(2位)おめでとう!
 君たちの豊かな感性応援しています。

合格 「松山」ですね V0l.89の解答

8月26日(月) V0l.94 すごいなぁ、さすが歴史研究会

 一昨日(8月24日土)、中学生の保護者向け説明会のサポートに来てくださった本校保護者の方が、朝一番で校長室を訪ねてくださった。「先生!今日は長男が一緒なんです。と言うより、彼がメインなのです」母の後ろにいた3年生の男子生徒が、「おはようございます」と元気よく入ってきた。兄弟揃って本校生徒。下の息子さんは吹奏楽で頑張っている。背が高くギターを弾く姿が、「いいね」と感じさせる好青年である。お兄ちゃんは歴史研究会に所属していて、ぜひ校長に自分たちの活動を見にきて欲しいと希望している・・・までは母から伝え聞いていたが、まだ面識がなかった。文化祭の折にブースを訪ねたことは承知していて、まずはそのお礼をいただいた。「後輩が担当していたので、彼のいい勉強になると思って」声がけを控えたのだと言う。今日も後輩たちの研究の進捗を見にやってきたそうである。こう言う先輩の背中を見て、後輩は育っているのだと感じた。実際、学校見学会の時にそうした姿に触れた中学生が、「この学校で歴史研究部に入って・・・」と言う具体的な動機で入学してきている。学校の宝は生徒ですね。その生徒を育てている教員ですね。
 「先生、松山です」ほぼ毎日校長Vol.89の解答である。「夏季休業中だから、まだ誰も来ていないのではないですか?1番ですか?」と正解か不正解かを問う前に聞いてきた。日頃の「歴史研究」に熱く燃えている血が騒いだのであろう。「一番だよ。そして正解だよ」と応えると、最初はイメージと維新だけで「福島」と言う答えが直感で出てきたのだが、秋山兄弟、正岡子規と続いたので、すぐに松山とわかったと言う。すごいことだと褒めると、顧問の教員との会話で、維新のころの話が印象的に残っていたのだそうだ。「『坂の上の雲』ですよね。いいですね。よかったですか」とイメージする「松山」をなぞるように会話を進めていた。

 うちの生徒、触れれば触れるほど味わいがある。市原中央高等学校、いいね。

まる 笑顔の明るい二人が訪ねてくれた

8月24日(土) ほぼ毎日・校長 Vol.94 毎日来ているんですよ

 「へぇ、広いんだね」という会話と共に、野球応援で活躍してくれていた二人の女子が部屋を訪ねてくれた。(実はこの時まで名前を知らなかった。ごめんなさい)「久しぶりだね」と語りかけると、「私たち、毎日学校に来ているのです」「ねぇ、緊張が途切れるといけないから」自宅ではついつい自分に甘くなってしまうので、学校で受験勉強に励んでいるのだと言う。「これまでの教師経験から・・・」と前置きして、秋風が吹き始めるこれからが勝負になる。どこまで歯をくいしばれるか。ゴールまで一気に駆け抜ける加速をつけられるか。本当に忍耐の時が待っている。学年主任をしたその昔、「この学年からは、おいそれと『推薦』は出しません。なぜなら、ここの生徒はその大学に一般入試(実力)で入ることができるから。本人も、親も、教師も歯を食いしばりましょう」と語り、例年1桁しか合格の出ない国公立に50数人を合格させたことがある。市原中央高等学校のみんなもそうなんだ。ちょうどそんな力を持っているんだ。そんな話をしていた。その中で、母親と言うのは一番辛かったかもしれないね。特に息子を持った母は。と何気なく話すと、「先生わかります。うちの母、兄の時を見ていると・・・」と一人の生徒が語った。

 もうすっかり大人の会話ができている。いいなぁ、うちの生徒。

 その話から、彼女のプライベートな話になっていった。もちろんここでご披露するわけにはいかないのだが、当時持っていた人からは羨まれるような環境(名声?)に背を向けて、彼女がなぜ本校へ来たのかそのルーツを語ってくれた。実にポジティブな思考なのである。そして入学の時点で、そのポジティブな思考に導かれた結論を持ち、それを今貫いている。もう一人の生徒が語った。「ねっ、●●ちゃんは無理でしょ(私の指導めいた話が通用しないでしょと言うほどの意)。でも私には響いてます」(ちゃんとフォローしてくれている)彼女の本校へ来た思いと、貫いている姿勢を聞いて、心から「すごいな」と思った。頑張れ!

 いいでしょう、うちの生徒。自慢、自慢。

花丸 ちょっとしたリレーション 大切です

8月23日(金) ほぼ毎日・校長 Vol.93 明日のために


 部屋からほとんど出ないでこもっていた。夕刻昇降口が賑やかなので、ドアから首を出してみると、いかにもいい汗を流してきましたと言わんばかりの女子生徒が5人ほどいた。私の姿を見つけると一人が「こんにちは」と大きな声で挨拶をし、しっかりと清掃に取り組んでいたみんなが手を止めて、みんなで挨拶をしてくれる。明日の説明会の準備の仕上げとして清掃活動に取り組んで切れているのである。卓球部の女子だそうである。「いいなぁ、なんだか嬉しいなぁ、ブログのネタ作りに写真撮れせてください」「はーい」といってピースサイン。「そうではなくて、君たちの奉仕の精神が写り込むような。自然な・・・」と注文をつけると。また「はーい」といって上の写真が撮影できた。

 これだけのことなのだが、この記事を読んでいる皆さんに、彼女たちとのリレーションは感じていただけると思う。『うちの生徒って、接したときに嫌な思いをすることがないなぁ』と素直にそう思った。

部活で疲れていたろうに、本当にありがとう。

体育・スポーツ 「あらた」の意と「信」の重みを感じて欲しい

8月22日(木) ほぼ毎日・校長 Vol.92 結果としての惜敗

  市原中央 000 000 000  0

  志學館  000 000 10✖️ 1

 立秋を過ぎた。正確には「立秋が始まり間も無く終わる」になるのだろうが、夏とはいえどことなく秋の気配漂うこの頃である。野球の秋季大会の始まり。こんな行事の始まりに秋の気配を感じる者もいるかもしれない。試合開始には少し遅れたが、応援に行くことができた。両校ともがっぷり四つに組んだいい試合展開だったと私は思っている。野球通の御仁は、「あの時のあのプレーが」とか「あの時の交代が」といった深い知識や洞察力で評価をなさるが、私にはよくわからない。ただこの夏の大会でベスト4に入ったそのメンバーを残してのチームスタート。その中に、今まで自分たちを支えていた糸が、今回の大会から変わったことを選手たちに気づかせくれる試合だったのではないかと、私は思っている。
 上手い下手、試合慣れ、術数に長けた試合運び。色々と言い方はあるかもしれないが、守備のうまさやバッティングの強さを本領発揮させてくれる「何か」の存在に気づいたはずである。『あれぇ?なんだ?この前までは繋がっていたのに』『えぇ?あのタイミングではアウトが取れたはずなのに』といった微妙なズレを生じさせている「何か」である。それが「信」だと私は思っている。これまで培ってきた本校野球部のチームにあった「信」とは、似て非なるものである「信」である。それが太くなれば「勝利」に繋がる。気づかずそのまま過ぎると「勝利」は遠のく。
 「新チーム」の「新」は、「あらたまる」(新しくなる)=「改まる」(変わる)ことである。自分たちの「信」、改まった「信」、ぜひ築いて欲しい。

 いい試合を見せていただきました。感謝。応援に来ていた3年生諸君、ありがとう。わざわざ駆け寄ってくれてみんなで挨拶をしてくれた。嬉しかった。やはり市原中央高等学校は、生徒が誇りなのである。

学校 生徒がいる学校が一番!

8月21日(水) ほぼ毎日・校長 Vol.91 もう平常授業のように

 チャイムが鳴った。『チャイムの音色を替えたのか?』と思っていたら、夏季セミナー用の特別なチャイム。聞きなれない新鮮な気持ちで聞くと同時に、様子が見たくなったので、ぐるーりと学校を一回り。通常の授業なら、遠慮なく中に入っていくのだが、写真のような真剣な取り組みの様子に圧倒されて、外から覗かさせていただいた。「エェーっ、なんで。なんでなん?」数学科の若い先生(本校の卒業生)である。よく声が通るので、廊下の端にいてもすぐにわかる。声に誘われるように、教室の後ろから拝見。「ちゃうよぉ、それをこんな風に捉えるさかい、まちごうてしまうねん。」彼の生い立ち、経歴を知りたくなった。綺麗な嫌味のない、上質な(上品な?)関西弁を使う。関西人の私が言うのだから間違いない。それよりも何よりも、この先生の授業は「会話」が成立していることに驚きを感じている。数学の授業でここまでできる教員は珍しい。生徒もすごい。時を選ばず手をあげて、「先生・・・」と質問を投げかけ、納得するまで食い下がっている。「わからない」「理解できていない」ことを解決して「分かる」「理解できた」に変えるプロセスが、コミュニケーションで展開できている授業。これ、いいわぁ!きっとこの先生の授業では「わからない」を表明することにためらいはないのだろう。それと、「何がわからないのか」が分かる時空になっているのだろうと思う。夏休み明けにじっくり1時間拝見しようと思う。
 渡り廊下を歩いていると、硬式テニス部の部員たちが私に気づき、一斉に練習をやめて挨拶をしてくれる。この部活はここが大好きだ。礼儀正しくけじめがちゃんとついている。みんなの目がこちらを向いているので、ちょっと緊張しながら「暑いのによく頑張っています。雷鳴が聞こえたら、すぐに練習止めるんだよ」(う〜ん、もう少し気の利いた言葉があったろうに)
 廊下に貼られているインターアクトのポスターを発見した。通常の学校ではマイナーな活動体である場合が多いのだか、本校では結構メジャーな集団である。(意外と在校生はその活動の実態を知らないのかもしれない。ふとそう思った)「キャップ回収協力ありがとう!」ポスター。簡潔明瞭に書かれているのだが、必要事項が明確に示されている。「私たち(本校生徒たち)の活動結果」が数値で示されている。小さな一つの所作が、協力が、こんなに多くのこんなに大量の成果につながっている。それがちゃんと示されているのである。

141,298個(3,826kg)

 =ポリオワクチン9,823人分

 =61,887kgのCO2削減

説得力あるなぁ。海洋汚染のプラゴミ問題で言うと、そのまま3,826Kg/800万tの削減になっているのだよなぁ。

すごい。ちゃんとここまでできる生徒たちの活動(インターアクト)が、メジャーである市原中央高等学校って、すごい。みんなで考えてみませんかSDGs

会議・研修 グローバル・リーダー・プログラム(1年生)

8月20日(火) ほぼ毎日・校長 Vol.90 自分の不摂生をこれほど悔やんだことはない
 旅先で台風の直撃を受けないうちに・・・と考えた理由の一つが、今日の報告である。1年生の英語コースが8月16・17・18日の2泊3日で市原市内のホテルに缶詰になり、彼らにとっては初めてのプログラム経験をすると聞いていた。ぜひ参加して様子を知りたかった。急いで最終日は夜通し東名高速を走れば、18日に間に合うかもしれない。それほどに楽しみだったのである。
 過日、ゴールドマン・サックス社で実力を発揮してくれた彼らである。全く心配することはなかったのだが、はじめでつまづくと挽回が大変である「うまくいくといいなぁ」という祈る気持ちもあったことは確かである。担当の先生にメールで、体調不良で伺えないことをお伝えすると、「無理なさらないでください。でもものすごい成果、成長ですよ」と返信をくれた。病気で楽しみにしていた遠足に行けなくなった子供のように、ただただ残念であった。

 目の前に英語科の若い先生がいる。アクティブな学びについて、非常にいいものを持っている先生である。教育実習生の指導でそう感じた。昨日(19日)朝一番で部屋を訪ねてくれたのである。興奮冷めやらぬ様子で、「すごいですよ。本当にすごいんです」女子が感動をなんでも「可愛い!」で表現するように、「すごい」を連呼している。「おぁ、すごいんだ。で、何が?」整然と語られていなかった研修の様子を丁寧に語ってくれた。
 Program=生徒のリーダーシップを伸ばすための仕掛けが段階を踏んでできている
 Peers=協働の中で自己を変容させ、成長している姿と、率先垂範、方向性指示がちゃんとできている。
 Passion=情熱的に取り組む姿勢が貫かれていた。情熱を傾けられない者への同僚支援。そんな難しいことまでできていた。
 Play=笑顔が絶えない、創造を楽しむことができた研修だった。
 「校長先生!これいいですよ。学校のあらゆる場面に導入しませんか」と熱く語ってくれた。嬉しいことである。彼の一連の話の中に、この取り組みや、教職員の努力、何より生徒の学習成果に肯定(Positive)が見られた。最高の評価、営みだと思う。感謝。

市原中央高等学校の新たな舵取りの方向性が見えてきた気がする。教育に5つのPがある。いい学校です。

嵐 嵐の夜 いい人情に触れた いい人に出会った

8月19日(月) ほぼ毎日・校長 Vol.89 ここはどこだろう、あの小説の行間はこの景色を見なければ

 夏風邪を引いたようである。「鬼の霍乱」使うが漢字がかけそうにない言葉の一つである。「霍乱」とは辞書によると「日射病や暑気あたり」とある。滅多に体調を崩さないから「鬼」であってもいいか。
 郷里に車で帰っていた。前半の激しい暑さと、台風10号の直撃で、さんざんな旅であったが、元気な母親の顔が見られて、それはそれなりにいい旅だったと評価しよう。しかし、郷里から少し足を伸ばした旅先で体調を崩した。最後に宿泊した宿の女将はいい人で、台風が近づいてくるのを気遣って、「このあたりはとても穏やかないいところなんですよ。瀬戸内の夕陽は黄金色に輝いて・・・」と土地自慢をしながら、「来てください。もう一度来てください。こんな日では気の毒です」と、台風の接近する前に宿を出ようとする私たちをしきりに気遣ってくれた。「今からお通りになる道は、のたりのたりとした海のそばをゆっくりと曲がりながら、その向こうに浮かぶ島の黒い影。空と海の境がわからなくなるような黄金色の夕陽・・・」聞いているだけで情景が浮かびそうである。幼い頃、生まれ故郷の近くの海で見た夕陽の情景である。もう何年も前、教職についていたから30をとっくに過ぎた頃のことである。大学で教鞭をとっているという友人のお父さんと、瀬戸内の夕陽の素晴らしさを語り合ったことがあった。染みるように心に残る情景の一つである。
 女将の気遣いと人柄に、太宰の富嶽百景に出てくる老婆を思い出した。「また来ますよ。必ず」そう応える私に、「本当ですか。そうしてください。こんな日でなければ」と、また気遣ってくれた。その前日に写真のような光景を眺めていた私は、女将が何をどう語りたいか絵を見るより鮮やかに想像していた。いや、実際の風景の持つ美しさより美しい「印象」の瞬間(とき)を心に刻んでいた。『女将さん、ありがとう』しっかりとお礼も言えずに、追われるように宿を後にした。最後にいただいた湯が本当にいい湯だった。あの湯の後で、車のクーラーで冷えてしまったのか。風邪を引いてしまった。鬼の霍乱。

 さて、校長はこの夏休み、郷里から足を伸ばしてどこに行っていたのでしょうか。答えが分かったら校長室にどうぞ。
 ヒント 明治維新、秋山兄弟、正岡子規

重要 ついに待望のあの動画が公開された 要視聴

8月14日(水) ほぼ毎日・校長 Vol.88 Nコン 創作テレビドラマ部門 準優勝作品

制作意図 一昔前では男性が上、女性が下という差別的な風潮、男尊女卑がありました。今では男女平等が当たり前の世の中になり、男尊女卑という言葉自体もあまり聞かなくなりました。しかし、僕たちの高校生活の中ではその男女平等を逆手にとった女子から男子への差別、女尊男卑を度々受ける時があります。男尊女卑ではなく、女尊男卑について知って欲しいという思いから創作しました。(「NコンWEB」より)

 ツイッターに放送委員会のつぶやきがあった。「今日Eテレで放映されます。見てくださいね。」ちょうど移動中で見ることができそうにない時間帯である。拝見したかった作品であるだけに、残念に思っていた。録画予約もしていない。心から申し訳なく思っていると、次のツイートには「NコンWEBで見て頂けます」とあった。早速拝見した。面白かった。本校の生徒の特徴がよく表現されている。もちろんこの動画の内容の「女尊男卑」=本校の特徴ではない。何気ない日常に自然に見られる光景や言動。それをちょっと皮肉って描いてみるとこうなるのかな。ちょっと面白スパイスを利かせるとこうなるのかな。その「皮肉って」や「面白スパイスを利かす」のさじ加減が難しい。下手をすると「お決まりのね」「なんだかベタつく展開」になってしまいがちなところを、それをさらりとやってのける力がある。そんなところが本校生徒の特徴なのである。見終わって「ある、ある」ちょっとした皮肉や中傷にも「ははは」と笑って済ませるかと思わせる。そうした展開が面白い。上の画像にリンクを貼っておいたので、百聞は一見にしかず、ぜひご覧いただきたい。下手なテレビのコント作家やお笑いライターよりずっとうまい。8分間という決められた時間に、よくこれだけまとめられたものだと感心している。いい瞬間(とき)を過ごしている。

 うちの生徒、力ある。またひとつ自慢が増えた。いいね、市原中央高等学校!

PS
人生の先輩から一言(男子=私)
  一昔前もふた昔前も、私が高校時代もこういう世界はありました。
  ある意味男女の機微の「核」を描いているのかも・・・。
人生の先輩から一言(女子=私の奥さん)
  よく見てるわねぇ。すごいわぁ!