校長室から

苦笑い この師ありて、この生徒あり

4月14日(日) Vol.10 一枚の印刷物が嬉しかった

朝の打ち合わせに行くと、机上に一枚の印刷物が配布されていた。私だけにではなく、全職員に配られているようだ。新入生向けに作った冊子の巻頭言をわざわざ抜き刷りにしたようである。打ち合わせの発言の中で、一人の先生が「先日のお話の中で、『新入生向けの冊子の巻頭言にも書かせていただいたことですが・・・』との内容がありましたので、全教職員が知っておく必要があると思い配布しました。ご一読ください」と説明してくださった。なかなかできる気配りではない。一部の生徒に接する中で『いいなぁ、うちの生徒。自慢だな』と思える生徒の人間的質の高さは、こうした先生方によって育まれているのだ。嬉しかった。一方で、いい加減なことは書けないぞ、言えないぞと身が引き締まる思いがした。

説明できることの先にある未来に挑戦せよ

少し面白い話をしよう。昔、そう君たちが生まれて過ごしてきた時間の倍ほども昔のこと。出会った一冊の本の中に載っていたエピソードである。日本の霊長類研究所で飼育されていた一匹の雌のチンパンジー(サラ)は、自分を担当している飼育員に「思いやり」という心の動きを見せるという。それを確認する実験が行われた。寒さで震える飼育員に対し、彼女はどんな行動を見せるかというものである。彼女は、いくつかの選択肢の中から見事に毛布を選び、飼育員に掛けてやったのである。人にしか持てないのではないかと思われていたこの「思いやり」という心の動きを、サラはやってのけたのである。同種の行動が彼女には、異なる状況下でも確認された。ただそれは、相手が飼育員である時だけという限られた条件のもとで有効なものであった。
 しかし人は違う。限りのない広がりで、眼前の事象を受け、起こった心の動きを他に及ぼすことができる。目の前で起こっていることを観察するだけでなく、原因や意図を考え、そこですべきことは何かを考える。全く見ず知らずの者であっても、相手は何を望んでいるかを察し行動することができるのである。もちろん個人差はあるが、そこで起こっていることを観察するだけでなく、他者の意図や困惑は何かを考え、推測できるのである。人間にはこうした複雑な概念を学習し、その概念を現実に及ぼす能力があるらしい。誰に指図されることもなく、いつの間にかこの能力を自然に発揮できるようになっている。君たちの担う将来を「不透明な未来」などと人は言うが、説明できることの先にある未来に対する取るべき行動や、掴む力もこうした能力と同じなのかもしれない。
 「いつの間にか」と書いたが、この能力が発揮できるようになるためには、多くの人との交わりという経験、そこで受けた感情、読書や鑑賞によって作り出された疑似体験や感動などと、それを得るための積極的で懸命な行動が必要である。日々の生活における涵養である。勉強も然り、部活動や学校行事、友人とのたわいもない会話など、日常生活のあらゆるものが涵養の糧になっている。周りにあるものが上質であればあるほど、それに比例して形づくられる能力も上質になる。より上質な力を得るための営みには、上質な周辺、環境が欠かせない。ここ市原中央高等学校の自慢は、そこにある。中でも一番の自慢は、生徒である。君たちの選択に間違いはない。ようこそ、市原中央高等学校へ。   2019年4月

体育・スポーツ 熱い夏の予感Part2 おめでとう!県大会出場

4月13日(土) Vol.9 コールド勝ちとはすごい!

市原中央高校        003 300 06   12

志學館高等部        003 000 02×  5

避けられない用事があって応援に行けなかったのだが、今日第2戦vs志學館高等部がゼットエーボールパークで行われていた。野球好きの友人が連絡をくれた。「県大会出場だよ。よかったなぁ。いいチムづくりができているんじゃないか」という評価をいただいた。本当によく頑張ったと思う。一歩一歩踏みしめるように前進してほしい。スコアから見ると、内省的に見つめ直す点もあるのかもしれない。しかし、現実をしっかりと受け止め、今できることから前に進んでほしい。よかった、よく頑張った。おめでとう。

写真は11日に行われた京葉高校戦のものです

喜ぶ・デレ 生徒の声で救われた

4月12日(金) Vol.8 私たちが一番乗りですか?

残念ながら、君たちより前に生徒会長が来てくれた。「あぁ、琴◯さまかぁ」言葉に揶揄の影はない。何がというわけではなく、一目置いている、彼女たちなりの敬意が、表現にエスプリが感じられて面白かった。そうそうダンスの発表会、招待してくれると言っていたけれど・・・と、かつての愉快な、そしてひやりとした思い出話をした。ブログの材料集めに出かけると、大抵写真を撮る。こうしたスナップならなんでもないが、スポーツの大会などは一眼レフ+大きなレンズで撮影することが多い。女子バレー部の活躍を撮っていた時、周囲の保護者から寄せられる冷ややかな視線を感じた。それはそうだろう、ラフな格好でカメラを構え、女子高生を撮影するおじさんは・・・。しかしまさか「私は校長です!」と大声で叫ぶわけにもいかず。一人の保護者と目があって、気まずく会釈をして困惑しているときに、私に気づいた部員が「校長先生!応援ありがとうございます」と大きな声でお礼を言ってくれた。救われたんだよ、その場の空気から。聞いていた3人の生徒たちは、お腹を抱えるようにして大笑いをしている。中の軽音楽をやっているという一人が、「先生、大丈夫です。私たちもちゃんと大きな声で・・・」まぁ、それはそれで気恥ずかしいような。豊かな時を過ごせました。ありがとうございました。PS「あいみょん」先生わかります。

にっこり コロコロとよく笑う

4月11日(木) Vol.7 校長室に来た3人の生徒たち

机に向かっていると入口あたりに人の気配がした。影が、少し遠慮がちに覗いては消え、また現れて私の視線を感じては、また消えて、気配はするが姿がなかなかはっきりしない。影=人(人格、存在)そのものとはよく言ったものだ。見えない「影」に向かって「どうぞ、入っておいで」と呼びかけると、3人の女子生徒が笑顔を見せてくれた。「いいんですか?」「初めて、校長室」「へぇ」などと口にしながら、部屋全体を見渡している。しばらくの間3人を相手に(ではなくて、3人が私の相手をしてくれて)時を過ごした。コロコロと明るくよく笑う生徒たち、部屋の中がパッと明るくなった。中の一人がダンスをやっているという。今度発表会がある時には、招待していただけるそうだ。今から楽しみにしている。

体育・スポーツ 熱い夏の予感

4月11日(木) Vol.6 野球地区予選 VS京葉高等学校

京 葉 高校 000 000 200   

市原中央高校 000 111 40 X 

雨天で1日延びた11日、ゼットエーボールパークで地区大会第一回戦が行われた。「公式戦がはじまります。応援お願いします」校長室を訪れたキャプテン、副キャプテンの言葉が心に残っていた。京葉高校戦、初戦なので緊張しなければいいがと思いながら、一塁側に陣取って熱い戦いを見せていただいた。反対側にいるのに、ベンチからの大きな声援がはっきりと聞こえてくる。互いに支え合いながら、持てる力を精一杯出して熱く駆け抜ける時を共有していた。7回に2点の失点はあったものの、最後まで力を出し切っていたと思う。一つ事に夢中になっている姿はやはりいい。本校の自慢の一つがまた増えた気がする。次は4月13日の志學館戦、ぜひ勝ち進んで県大会出場を果たして欲しいと思う。スタンドで懸命な応援をしてくださっていた保護者の皆様、ありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。