校長室から

晴れ 君たちのことを忘れていないぞ

5月23日(木) Vol.35 訪問者はこれで何人目だろう、嬉しい限りです

まだ2ヶ月も経たないのに本当に多くの生徒が訪れてくれた。複数回来てくれた生徒も含め、延べ人数で100名は超しているだろうと思う。何がきっかけだったのか、集会の挨拶で「遠慮なく来てください」と言ったのかな?写真を必ず撮影させていただくことにしている。

 A  「カンバック!先生、ただいまぁ〜」の清掃担当の女子生徒たち。一緒の写真がないねという話になり、自撮りで撮影してくれた写真。とにかく彼女たちが来るだけで、部屋がパッと明るくなる。少々ブルーな気分でも、元気が出てくる。5月13日撮影

 B  「ねぇ、本当にやるの?」何かが始まるらしい。ドアの前の廊下に4人の女子生徒。中の一人が「うっ、うううっ」と言ってうずくまり、「先生っ!、これ」と言って、胸元からゴム製の心臓を取り出している。「もう10回以上やっているんです。誕生日プレゼントにもらったとかで・・・」ぜひ校長にも見せようということになったらしい。結構、楽しかったよ。4月18日撮影

 C 「今度、応援はこれでお願いします」野球部のキャプテン、副キャプテンである。応援用のTシャツを作ったので、校長にもぜひと保護者会の方々からの心遣いなのだという。この場をお借りしてお礼申し上げます。熱い夏が始まる。3年生の君たちは、あと何日みんなと野球ができるんだろう。高校球児としていられるのは何日間だろう?もちろん、甲子園の決勝の日までだよ。5月9日撮影

 D このパターンは珍しい。クラスの代表でやってきた。文化祭での企画にアドバイスがほしいという。彼らの考えた企画に、私が詳しいという情報が入ったらしい。ちっとも詳しくないのだが、聞いてみると、とにかく面白い。創造性があって、主催側も来客側も楽しめる企画である。ここまで考えられるのはすごいと思う。なんとか実現させてあげたくて、こういうスパイスを利かせばどうだろう、隠し味は・・・。逆に混乱させてしまったかな?5月16日撮影

ピース 激しい動きの中につながりを感じる

5月22日(水) Vol.34 バスケットボールの試合 5月19日(日)県立市原八幡高校にて

バスケットボールは、「ど」がつくほど素人である。ルールも流れもわからない。そんな私が(観戦するのに)好きなスポーツとしては、一番に挙げるスポーツである。まだ若かった頃、このスポーツの部活動顧問がいないというので、白羽の矢が立ったことがある。早速挨拶に来てくれた男女のキャプテンから「先生はバスケットの顧問が初めてとお聞きしました。二人からのプレゼントです」と言ってビデオテープをいただいた。NBAの試合を録画したもの。後日彼らが「ベンチに入っている監督はみんなスーツ姿でネクタイを締めていた。先生にもそうあってほしい」(女子キャプテンがクスっと笑った)ちょっとした、からかいなのである。その気になってスーツにネクタイで公式戦の監督に出向いた。どのチームを見ても、スーツを着てネクタイを締めている監督なんていない。『やられたぁ』と思ったが、顧問である間中その姿を貫いていた。もう40も半ばになるキャプテンが我が家を訪ねてくるたびに、笑い話にしている。

こんな出会いのあるスポーツだから、応援に行くのも楽しみにしている。この日男女の試合が行われたが、午後に吹奏楽部の演奏会が控えていたので、途中で失礼した。「躍動」という言葉が似合う。コートの中で激しく動く選手たち、ベンチで大きな声で指示する顧問。激しい動きの瞬間(とき)の中で、確かに心のリレーションがあった。

市原中央高等学校バスケットボール部、ファイト!

笑う 誰もこない日もある (T_T)

5月21日(火) Vol.33 やはり来てくれた

1日バタバタしていた。昼時も部屋にいることができず、放課後の時間も来客対応でドアがしまっていることも多かった。『これじゃ、生徒たちが来てくれても・・・』と少し残念に思いながら書類整理をしていると、「先生!カンバック。ただいまぁ〜」と言って清掃担当の女子生徒が入ってきた。彼女たちは私にとって、「空気」のような存在になっている。あることが当然のように思っているが、なくてはならない存在なのである。仕事をしながら、彼女たちは清掃をしながら、自然に会話を交わしている。「この掃除機とっても使いやすいです。ありがとうございます」と、私が持ってきた使い古した家庭用の掃除機のお礼を言ってくれる。茶道部に所属している一人から、部活を訪ねてほしい、きっとみんな喜ぶと思うとお誘いをいただいた。ぜひぜひ伺います、その時にはよろしく。「ほら、いらっしゃる」清掃担当の生徒が帰って間もなく、放送委員会の生徒が入ってきた。どうやら何度か訪ねてくれたようなのだが、申し訳なかった。3年生の二人。放送コンクールの作品づくりへの協力依頼である。金曜日の放課後に訪ねたいので、今日はアポ取りだけ。せっかく来たのだからと無理やりお付き合いいただいて、粗々の構想を聞いた。これまたすごい企画である。妙に奇をてらって無理を承知という安っぽいものではない。身の丈に応じた、そしてちょっと難易度の高い「挑戦」が感じられる企画である。話の中で「オノマトペ」(擬音、擬態音)のことを話した。二人ともこの語彙があった。目の前に座っている生徒たちが「すごい」を感じさせた。いいね。金曜日楽しみにしているよ。

音楽 魂のシェア・外伝

5月20日(月) Vol.32 まだ冷めやらぬ余韻

疲れているのに眠れない。興奮が目を冴えさせている。そんな夜を過ごした経験は誰にでもあるだろう。しばらくの間忘れかけていた、若い血潮の躍動。一つ事に夢中になっている者のもつ尊厳。よかった、素晴らしいステージだった。「本当にすごかったですね」見知る人が語りかけてくれる。見送りの列を作った吹奏楽部員の背中が、またひとつ大人になったようにも見えた。顧問の先生が、さぞ疲れているだろうのに、わざわざ歩み寄って来て、慇懃にお礼を述べてくださった。お疲れ様、そしてありがとう。心からそう述べたい。

   「魂のシェア」という言葉は、一人のアメリカ大陸の先住民の血を引く若者が教えてくれた。シルクドソレイユの「トーテム」に出演している。中休憩の混雑する待合室のモニターに彼が映し出される。「血を引く」が直ちに感じられる浅黒い、私たち日本人に似た顔つき。モニターの中の彼は語る。私が祖先の人々がそうしたように、神々との交流の所作を舞台で演ずる時、それは見世物として(ショー)として演じているのではない、我が民族の「魂のシェアである」と語る。この言葉を語らせる背景には、筆舌に尽くせぬ苦悩に満ちた日々があったに違いない。踊りながら「我が魂の尊厳何処に・・・」と考えたかもしれない。時にはあらぬ言葉に傷ついたかもしれない。自分に言い聞かせるように語った言葉かもしれない。しかし私には説得力があった。生徒の奏でる音に涙するのは、熱く駆け抜ける青春の魂の躍動がシェアされているからだ。この日お越し下さった皆さんもきっと琴線を慄わす「何か」をお感じになったことであろうと思う。

市原中央高等学校の生徒たちに、喝采。

音楽 熱く駆け抜ける3年間の魂のシェアである

5月19日(日) V0l.31 第10回 吹奏楽部定期演奏会

 本日はご来場ありがとうございます。ようこそ市原中央高等学校吹奏楽部定期演奏会へ。
 突然ですが、皆様は音楽に涙されたことはあるでしょうか。私には、はっきりと認識できる経験が一度だけあります。ある高校に勤務していた頃のことです。早朝も夕刻の遅い帰りも、ほぼ同じ時刻になる吹奏楽部の部長が、関東大会出場の楽曲が仕上がった、ぜひ私に聴いてほしいと誘ってくれた時のことです。素人にもその難しさがわかる楽曲を披露してくれ、聴いているうちに涙がこぼれてきました。もちろん初めての経験です。気付くまでにそれほど時間は必要ありませんでした。部員たちのこの音を生み出すまでの強い意志と忍耐、向上心そして支え合う力、それらの総和が楽曲を通じてシェアされているのでした。それが涙腺を刺激しているのです。
 着任して日が浅いのですが、本校吹奏楽部の諸君の日頃にも、既に同じものを感じています。今日のこの時空が設けられることに感謝し、聴く者の琴線を大いに刺激してください。ご来場の皆様、生徒たちの奏でる音にきっと感動していただけけることでしょう。それだけ本校の吹奏楽部の音は上質です。ぜひ彼らの熱く輝く「瞬間」(とき)に、喝采をお願いします。

パンフレット巻頭のあいさつから

了解 Global・Leader育成中(英語コース)

5月17日(金) ほぼ毎日Vol.30 4つのPと3つのリーダー資質

米・マサチューセッツ大学のMITラボの所長は日本人・Joiである。彼は「クリエイティブな学びには4つのPが必要である」と唱え、それを実践している。Project・Peers・Passion・Play。このプログラムにはその全てが揃っていた。そして育成には難しいとされるリーダーシップの三要素「率先垂範」「同僚支援」「方向性の指示」が見事に個々の生徒によって表出された時間が過ごされている。担当の先生から「3年間の集大成です。ぜひ」というお誘いをいただき、のぞいてみた。市原中央高等学校の英語コースは、単に英語を学びに来るところではない。これから生きていく社会において、求められる力(グローバルリーダーシップ)の育成と必須言語としての英語、その学び融合にもっとも価値があることがわかった。見事に目標設定と段階を踏んだ学びが企画されれいる(Project)、机に向かってチョークアンドトークの一方的学びでなく、主体的協働的な学びの仕掛けが随所にある(Peers)、夢中になったことがよくわかるプレゼン(Passion)、プログラムの間中笑顔と笑いが絶えない(Play)素晴らしい瞬間(とき)を過ごしている。

また一つ本校の教育の素晴らしさに触れた。そしてやはり一番の自慢は生徒であることを確認した。

*来春、本校の英語コースは、その学びにふさわしい「GLC(グローバル・リーダー・コース)」に変わります。

本 1册のノートから

5月16日(木) Vol.29 大切にしているんだ、大切にしてもらっているんだ

放送委員の1年生が教員に連れられてやって来た。何度か訪れてくれたようなのだが、タイミングが悪かったという。事務にいた教員が対応し、今日の日なら大丈夫という約束をしてくれていたのである。顔を見ると、昨日、東京大学・早稲田大学に一緒に行った生徒である。放送委員会に所属していて、NHKのコンクールにエントリーする取材をしているという。手に持った手帳、机の上にはボイスレコーダーがわりのiPhone。『すごいな、本格的だな』と思いながら、取材に応じていた。質問と回答。その中に彼が雑談風に入れる合いの手。ちょっと気になる話題は、自分なりに換言した言い回しで理解を確認する。物静かだけれども、口調に彼の強い頭を感じた。取材の間気になっていたアイテム(大切そうに使っているハードカバーのノート)について尋ねると「お気に入りなんです。父が買ってくれました」と答えてくれた。大切にしているんだ、そして大切にされているんだね君は。ふと自宅の机の引き出しに眠っている、何かの折にApple社から頂いたノートのことを思い出した。長い間使われることなく放置されている。彼の親子の「大切」が羨ましく、ちょっと介入したくなった。私の気まぐれで放置されているノートにも「大切にされる」時を過ごしてもらおうと思った。

君の高校生活は始まったばかり、いい瞬間(とき)を重ねて豊かに過ごしてください

? 5人のクマ子さんたち

5月15日(水) Vol.28 会話が楽しい

早稲田の見学を終えて、帰路につく地下鉄の中。一緒の車両に乗った5人の女子生徒が話しかけてきた。「校長先生、制服どう思います?」この婉曲的な言い回しの中に、肯定的な洞察を求めるかすかな意図が感じられる。(ねぇ君、何を話してるの、だからさ聞き取れないよ、もっと大きな声で、もっと大きな声で・・・[これが分かる世代には、それだけで状況を掴んでいただけるであろう])同じ場面には、教員生活の中でなんども出会っている。その度に「ただ可愛くしてほしい」「変えてほしい」という願望だけを聞かされるのだが、この子達は違った。願望とともに、理由と具体的解決案を持っていた。それに驚きながら、危惧されることを提示してみると、かなり包み込むようにストレートな表現を避けたつもりなのだが、ズバリこちらの真意を受け止め、「その辺りは、もうちゃんと自分たちで管理できると思う」という答えが帰って来た。「そうか、じゃあ変え方、変える手順はどうあればいいかという段階だね」「なるほど・・・」と会話しながら『すごいなぁ、真摯に受け止めてあげなきゃ』という気にさせる会話だった。

言葉のキャッチボールができる生徒っていいね

*念の為:彼女たちは早稲田大学で、クマの被り物を被ったわけではありません。ちょっとお遊びで画像処理をしただけです。念の為。

晴れ 輝いている目が眩しい 

5月15日(水) Vol.27 Ⅰ類・校外学習

心配された雨も去り、校外学習にとっては好天に恵まれた。訪問したのは東京大学と早稲田大学・慶應大学。午前中の東京大学では、大学内にある動物病院にお邪魔し、研究に当たっている皆さんの活躍の様子を拝見したり、魚類の研究をしている先生の興味に満ちた知的探求の実践に触れることができた。「東大はね、14トン/1月の海水を購入しているんです」淡水魚と海水魚の話、温泉トラフグ、第一線で情熱を燃やしている先生方の姿に直に触れた生徒たちの目は輝いていた。

笑う 支えていただいている実感

5月11日(土) V0l.26 保護者会総会

本当に大勢の保護者の皆様の参加があった。本校の教育活動へのご理解とご協力を強く感じた。お集まりいただいた保護者との協議からは「学校も、ソサエティ5.0社会の到来や、働き方改革関係法案の順次施行等、社会の大きなうねりの中で、教育活動推進がこれまでと同じでは済まされない難しい局面にある。今こそ学校、家庭が連携を密にして臨まなければならない時である。保護者会として協力を惜しまない」というありがたいメッセージをいただいた。本当に嬉しいことである。今後ともよろしくお願いいたします。ご挨拶の中で、たくさんの生徒が校長室に来てくれ、その数のべ80を超えることと、そこで交わされた会話、エピソードをお話しさせていただいた。全体の行事が終わり、部屋に帰っていると「こんな感じで覗いて行くんですね」と言って、ドアから顔を出してくださったお父さんがいた。「うちの息子にも来るように言っておきます」ぜひぜひどうぞ。その後正門近くに立っていると「◯◯中学校の教員です。先生のドーナツの穴のお話し伺ったことがあります」と声をかけてくださるお母さん。「覚えてないでしょうね。◯◯高校で教わった教え子です」という保護者の方。繋がりってあるんですね。懐かしくもあり、嬉しくもあり。一人ウキウキしていると、女子生徒が、「じゃあね」と言ってハイタッチをしていた。感じていた「つながり」を表しているように見えて、一枚撮影させてもらった。ほら、こんなにいい絵が撮れました。