2019年11月の記事一覧

お祝い 生徒と奈良盆地と関東平野と

11月13日(水) ほぼ毎日・校長 V0l.128 お土産ありがとう

 「大和盆地でなぜ日本文明が生まれたか?」「家康はいかに関東を制覇したか?」「水」をキーワードに紐解く面白い話を聞いた。日本水フォーラム・代表理事の竹村氏のお話しである。奈良盆地が元は湖で豊かな水運インフラが存在したこと、利根川の流れが銚子に向かうのは家康の関東制覇のための策であったこと。ワクワクドキドキの話だった。真面目に学習していれば、当然のことだったのかもしれないが、不勉強な私にとって、新鮮で驚きに満ちた内容だった。知れば知ったかぶりで他人に話したくなる。「知ってた?家康はね・・・」
 カモがネギを背負ってではないが、生徒が土産を手にやってきた。「先生、関西に行くことに決まりそうです」と言って京都のお土産をくれた。このブログのVol.94にお母さんと一緒に登場してくれた歴史研究部の彼である。進学をい考えているその大学に、『城』を研究している先生がいて、その先生に学びたいと思うようになったというのである。すごいなぁ、大学進学でしっかりと焦点が絞れている。さすがである。「お母さんは少し寂しいかも知れないね」と語ると「そうなんです。もう寂しがっています。まだはっきりと決まったわけではないのですが。観光がてらに息子の下宿においでよと慰めておきました」なんだか暖かい母子の関係が感じられて、心がほっこりした。
 ところで「奈良盆地」って湖だったこと知ってるかい?家康が利根川の流れを変えたって知っているかい?さも自分が唱えている説であるかのごとく、講釈師よろしく感動のお裾分け。退屈もせずに付き合ってくれた。かえって「先生それ面白いです。僕の勉強に役立ちそうです」と喜んでくれた。お付き合いありがとうございました。

 そうだね。「水」をキーワードに「城」を考えてみるなんて、面白いかも知れないね。市原中央高生いいね!

関東の地図(東歌とゆかりの地から)
http://kiyotan.net/many_11kantou.html   

奈良盆地の図(奈良盆地の原風景から)https://blog.goo.ne.jp/nambashout/e/1858903decf3df8427ce6f66be8b8ae7 

鉛筆 授業にお邪魔 生徒観察

11月11日(月) ほぼ毎日・校長 Vol.127 主体的、能動的な学びに向けて


 ルーズリーフのはし切れに、うし・ぶた・ニワトリの絵が描かれて、教室の後ろに飾ってあった。写メに撮って使用したが、持ち主不明で本人の承諾がない(=著作権違反)のである。あまりに可愛いから使ってはみたけれど、後ろめたい。「センセェ!だめ!」だったら申し出てください、すぐに削除します。
 ぜひぜひと思いながらなかなか実行できなかった。11月に入ってから、ちょこちょこ授業にお邪魔して、生徒の様子を拝見している。電子黒板を使って、ICTを駆使したアクティブラーニング。何よりも「すごいな」は、生徒の能動的な取り組みである。これが市原中央の原動力だ。
 数学の女先生が「電子黒板入ったんだけれど、どう使えばいいのか迷っています」この先生、自分の授業のものすごい価値に気づいていないらしい。私は初めて拝見して「これは分かるは」とすぐに感心した。一見、単なるチョーク&トークのように見えるのだが、ちゃんと右脳に語りかけ、左脳で考えさせているのである。私がメモした手帳を見せながら「ほらね。こんなところでビジュアル。それが同じ黒板の上で、論理的に語られている。右脳と左脳を上手く使わせて説明できているんだ」と解説すると、「ほんとだ。こんな見方しなかったです」と自分が発見できたようである。すぐにでも電子黒板使ってみたくなったのではないですか?

 分かる授業が展開できる教員に、わかろうとする能動的な姿勢をもつ生徒。師弟同行です。授業中にもいい瞬間(とき)が流れているこの学校、いいね。

インフォメーション 感動をあらかじめいただきました

11月8日(金) ほぼ毎日・校長 Vol.126 笑顔の音楽コースの2人

 二階の第二音楽室で鳴っていたグランドピアノの音が止んだ。しばらくあって、ドアをノックする。「どうぞ」という誘いに、明るく笑顔で女子生徒2人が入ってきた。音楽コースの2人である。プログラムが出来上がったので、お礼方々きてくれたのだという。「今、ピアノを弾いていたのは?」と尋ねると、出演するみんなで通し練習をしていたのだという。「やりきった」が言える演奏会にしたいという。
 過日きてくれた後に、音楽の先生が訪ねてくださったことや、その先生の表情がなんとも言えず暖かかった印象を話すと、二人とも「私たちは幸せ者だ」と話してくれた。音楽の先生方が学校の「家族」のような存在なのだという。いいなぁ、生徒にそれを感じてもらえるだけでも、本校の誇りです。
 最近読んだ雑誌に載っていた神経細胞の話。神経細胞は「発火」で繋がりを持つ。その発火はどういう伝達になっているのか。光る時間の長短?光る強さ?長短であるなら、基準が必要だ。そんなものがあるのか?甲論乙駁している脳科学の世界に新しい光がさしてきた。その基準となるような、メトロロームのような細胞が見つかったという。発火のながさの基準となる細胞の発見。しかしそれは個人差がある。その個人差はリレーションで同調してくるのだというのである。
 音楽を聴く感動って似ていないだろうか。奏でる者の情熱や感動、これが伝播するには、発火の長さの基準の同調が必要なのでは?などと考えた。つまらない話しに付き合わせてしまった。『よくわからないけど・・・』という思い顔をしながらも「私たち音楽をやっていることは凄いこと?」
 そうなんだよ。音楽という繋がりの手段、同調の流れ、共鳴の方法をそこまで極めて、聴く者の感動を呼び覚ます。17才、18才でそれが持てていることは、自慢に値するよ。胸をはっていいです。

 16日(土) 定期演奏会。楽しみにしています。いい演奏会になってほしいですね。きっとできます。

会議・研修 アー、もうダメ。助けてください。

11月7日(木) ほぼ毎日・校長 Vol.125 えっ「友達は彼女を見放しました」?

両側の紅葉は、本文とは無関係です。感動のお裾分け。
 いつも掃除に来てくれる賑やかな二人。二人が入ってきただけで部屋の中がパッと明るくなる。またこの二人は中がいい。勉強のことについてもいいライバルのようで、「えぇ、なんでそんな点数が取れるのぉ」「教えて、教えて。解き方教えて」と賑やかに会話を交わす場面を何度も見ている。羨ましいぐらい中がいいんだ。一方の子が悩んでいる。もう一方の子が「もう親友は見放しました。話を聞いているうちに『イラっ』ってするんです。助けてください。」
 志望動機、面接練習で悩んでいるという。「貴学では・・・」「5分でお悩み解決。校長マジック。付き合ってみるかい?」とまるで詐欺師のように甘い言葉をかけてみた。藁をも掴む気持ちなのだろう。「ぜ、ぜひ」と食いついてきた。
 「面接は考えてきたことを語ってもダメ。自分の内面に宿るPassionを語らないとダメ。やってみよう。本当に君がその大学、その学問に憧れているのなら、5分で大丈夫」
 いつもの会話からは想像できない「将来」を語ってくれた。意外性を感じながらも、それにしっかり焦点が絞られているなら大丈夫だと思った。いつものトライアングル。What?とWhy?で組み立てて行く。見る見るうちに完成した。「裾野に広がる9つの要素、目指している大学にありますか?」「せんせい、あります」「貴学では・・・」もう自分の言葉で、学びに対するPassionが見事に語れるようになっていた。「ありがとうございました!」お礼もそこそこに、元気に満ちた背中が部屋を飛び出していった。担任の先生との面接練習の時間が迫っていたようである。

 5分は嘘だったね。15分はかかったかしら?でもそんな短時間で自己確認のトライアングルを完成できるなんて、やはりうちの子はすごい。いい「瞬間(とき)」を過ごさせていただきました。

キラキラ オルゴールの上の人形のように

11月2日(土) ほぼ毎日・校長 Vol.124 暖かい日差しのもとでランチタイム


 学校見学会が行われた日の昼下がり。職員の昇降口から外を見ると、中学生とその保護者の方々がお帰りになったバスターミナルで、女子生徒がくるくると回っている。しっかりと軸を作って、見事に回転している。きっとバレーの心得があるのだろう。『まるでオルゴールの上のバレリーナ人形だなぁ』。そのすぐそばの掲揚ポールの下には、暖かい日差しを求めて生徒たちが集っている。ランチタイムである。よく見かけるこの生徒たち。あまりに楽しそうなので、お邪魔して、写真を一枚。二枚。被写体の生徒たちが一斉に「こんにちは」と挨拶をした。振り返ると、一人の先生がこちらに近づいてきて、「校長先生もご一緒に」と、生徒と一緒にパシャリと集合写真。先生エアドロでDATAください。ワイワイと写真交換会が始まった。
 何気ない「瞬間(とき)」なのだが、温かい。市原中央高等学校の素晴らしさってこんな些細なところに現れてくる。

 ありがとう、生徒たち。ありがとう先生。いい学校です。

王冠 ギョギョギョ!のギョ子生徒

11月1日(金) ほぼ毎日・校長 Vol,123 さかなクンの話で盛り上がった

 「おや?君は・・・」後ろ姿しかみたことがなかったが、すぐにわかった。何度か美術の部屋で、大きなキャンパスに向かっている後ろ姿をみたことがある。集中しているので声もかけづらい。立ち並んでいるイーゼルに置かれたキャンパスの隙間から背中が見える。時々小首を傾げて、しばらくするとまた手を動かしている。あまり緻密な描写は、誤解を招きそうなのでこれぐらいにしておくが、とても集中した素敵な後ろ姿なのである。初めて顔(笑顔)を拝見した。おおいにして後ろ姿で作られたイメージは裏切られるのだが、彼女の場合はそれはなかった。こんな話題から、今手掛けている大作の話に至った。制作途中の作品に関わるお願い。そればかりは、私にどうしようもなかった。「ごめんね」と心から謝って、帰ろうとする彼女に興味について聞いてみた。「絵」が返って来ると思っていた予想に反して、「生き物、特に魚が好きなんです」
 この言葉を皮切りに、さかなクンの話になった。彼がまだこんなにテレビにも出ない頃。知り合いの海辺の家の隣に海洋大学の実習所があって、そこにさかなクンは水槽を持っていた。陽気な青年で、私たちの顔を見ると、「海の中はどうですか?」撮ってきた写真を見て「ありゃ〜、ユウゼンの子供ですねぇ」などと話しかけて来る。「ギョ、ギョ」はまだ持ちネタになかったが、「さかなクン」の愛称はもうすでに持っていた。「魚」を語り始めると止まらない。ある時「砂イソギンチャク」の個体識別について問いかけると、「日高さん、苦手なんですボクぅ」と言って悩み始めた。
こんなエピソードを話して聞かせると「えぇ、さかなクンを知っているのですか?」と目を輝かせている。さっきまで少し残念そうに伏せ目がちだった彼女の目がキラキラ輝いていた。「先生!またきていいですか?この部屋に」「いいよ。いつでもおいで」
 見送るといつもとは違う背中、後ろ姿があった。ニコニコしている後ろ姿。いいね。「秋の日はつるべ落とし」すっかりと暗くなった駐車場の向こう側の校舎の窓に、洛陽の最後の光が映っていた。