2019年5月の記事一覧

視聴覚 ちょっと楽しみな活動

5月31日(金) ほぼ毎日校長 Vol.39 ドキュメント番組を作る

演劇を志す若者には独特の雰囲気がある。うまく表現できないが、どこか浮世離れしたような、俗人にはない個性が伺えたりする。私の中での日常の彼らは大抵、ぼんやりとしていることが多い。科学に思いふけるばかりに道を踏み外して、溝に落ちてしまったり、壁にぶつかってしまったり。日常に戻るために「叩き役」を連れて歩く天空の城ラピュータの住民(ガリヴァ旅行記)を思わせる。私の印象なので失礼があってはいけないが、多くの演劇に関わる教え子たちがそうであったように思う。彼らのすごいところは、舞台に立って「役」を演じると、豹変してものすごいエネルギーを発するところである。舞台で演ずる役者だけでなく、裏方の者たちもそうである。芸術家やアスリートたち、一つことを極めたものたちも同じような空気を持っている。全ての緊張から自分を解き放った時を過ごしながら、舞台やトラックに立つ、キャンパスに向かう「一瞬」に爆発的な力を発揮する。この日部屋を訪れてくれた3人の放送委員にも同じものを感じた。「僕は、私は、こういうものを音で表現したいのです」と熱く語る。その表情や仕草、目の輝きに、ハイレベルな芸術家の血を見たような気がした。大人の尺度では「それ、相当無理があるよ」「現実を見つめて、諦めるなら早いほうがいい」と言ってしまいそうなものであっても、彼らの語りに裏打ちされると、「いいねぇ、面白いかもしれない」と逆に価値観を改めさせられる。NHKの放送コンテストにチャレンジするそうだ。ぜひ頑張ってほしい。

本校の生徒たちは、想像していたよりワンランク上にいるのかも知れない。いいね了解

困る 校長先生は寂しい(>_<)

5月30日(木) ほぼ毎日校長 Vol.38 あーとで

写真は放課後の職員室前廊下。試験前に限らないが、大勢の生徒たちの学びの壁になっている。廊下の壁際にズラっと長机が並べられて、質問のある人は目的の先生を呼んで、指導を受ける。本校の日常的な光景である。試験前はいつも満員で、空気もピリピリしている。いつもも見慣れた顔がいる。「あっ、先生こんにちは」と言ってすぐに机に向かう。『おーい、それだけか?』いつもなら、ねぇ、ねぇ先生、と話しかけてくれるのに、ここのところ冷たい。一様に冷たい。「あーとで」なのである。幼い頃、友人の家を訪ねて「◯◯ちゃん、あーそーぼ」と声をかけると、「はーい、今行くヨォ」と声を返してくれるのに、その日に限って「あーとで」。なんとも言えない寂しさを感じた思い出が蘇ってくる。校長先生は、さびしいのである。早く考査が終わらないかな。

背中からも緊張を感じさせる本校生徒の勉強する姿勢、いいね。

体育・スポーツ 深紅の優勝旗が校長室に来た?

5月27日(月) ほぼ毎日校長 Vol.37 応援に行けなかった

  長い電話の対応をしていると、ドアをノックして野球部のいつもの2人が入ってきた。もちろん内側からの「どうぞ」に応えての入室であるが、まだ左手に受話器のある私の姿を見て、「失礼しました」と出て行こうとする。急ぎ受話器をおいて、入ることを促した。手には「優勝旗」が持たれている。「報告がてらきました。東海大望洋に勝ち、優勝しました。ここに置かせていただいていいですか」その報告を聴きながら、副キャプテンの右手に、私の視線は注がれていた。薬指に包帯が巻かれている。「どうした?」という問いに、試合中に打球が当たって骨折したと説明しながら、うつむいている。「夏の大会前に、最後の大山場の前に・・・」その言葉に、大きな大きな体が、小さくなったように見えた。言ってはならない言葉だったかもしれない。自責を受け入れるように「他のことではなく、野球でなら納得もある」とわけの分からぬ繕いをした。うつむいていた顔をあげて、「その時までに治します」と、笑顔ではっきりと応えてくれた。君が一番気にしていたであろうことを言ってしまってごめんなさい。空気を読むようにキャプテンが「先生、逆転なんです。接戦を制しました」と昨日の試合の報告に話題を転じてくれた。痛々しいほどの気遣いである。嬉しいね。聴くと下のような結果である。こうした接戦を制することができるのは、この夏に向けていい力をつけてきている証拠だと思う。

頑張れ!市原中央球児たち。

市原中央 210 040 100 

東海望洋 240 001 000 7

先日の吹奏楽部定期演奏会、大勢で駆けつけてくれたこと、感謝します。ありがとう。

グループ ニライカナイから神がくる夜

5月24日(金) ほぼ毎日Vol.36 信頼されることを教えてくれた少年

生徒会役員選挙の立会演説会があった。先駆けて生徒会長の「◯音さま」が部屋に来てくれた。今日校長講話よろしくお願いしますということと、立会演説会に触れるような内容であってほしいというお願いである。『難しいなぁ・・・』と思っていると、察したのか「そうですね、前回の終わりが、『次回は、信頼を教えてくれた少年の話をしよう』でしたものね」ちゃんと聞いていてくれたのですね。案の定、無理やりこじつけの講話になってしまった。

校長講話

南の小さな、小さな島の話である。その島では夏の初めに、ニライカナイから神々を迎える秘儀の祭りがある。島民以外は全て島外に出して行われる、写真撮影はもとより、筆録も許されず、見たことは語ってはならないタブーがある。まさに秘儀である。その祭りに招かれた。長老の家で紹介され許された私は、招いてくれたオジイが案内係に付けてくれた少年に導かれて祭りの場に向かった。真っ直ぐ続く細道の向こうに、こんもりと茂った森がある。神々の宿る杜(もり)であるらしい。太鼓と木を打ち鳴らす音が聞こえ、2柱の神が現れた。赤い顔の神と黒い顔の神。夫婦神である。「ねぇ、あの神様は夫婦なの?」少年に尋ねると、少し考えた少年は「おじさん、おじさんはいい人だからね、教えてあげる」と言って「夫婦神であると教えてくれた。赤い顔の神さまが女神で、黒い顔の神が男神。勝手に自分の中に出来上がった基準で少年に語りかけると、「違うよ、おじさんはいい人だから教えてあげる。一日中海で釣りをして、日焼けで真っ赤なのが男。かまどの灰を被って真っ黒なおが女の神。」興味津々で少年に尋ねるたびに、彼は枕詞のように「おじさんはいい人」を繰り返す。聞いているうちに私は心が浄化されて、どんどんいい人になっていく。人に信頼されることの喜びをこれほど純粋に感じたことはない。信じることも難しいが信じられていることを実感することはさらに難しいかもしれない。「信」という万有引力のような人の繋がり。大切にしてほしい。立会い演説で、自分たちの学校生活の心臓部を担う労を買って出た仲間との「信」をしっかり確認してほしい。

ところで、話に出た少年は、言葉の前になぜ「おじさんはいい人だから・・・」と必ず言ったのだろう。宿題です考えておいてください。

 

晴れ 君たちのことを忘れていないぞ

5月23日(木) Vol.35 訪問者はこれで何人目だろう、嬉しい限りです

まだ2ヶ月も経たないのに本当に多くの生徒が訪れてくれた。複数回来てくれた生徒も含め、延べ人数で100名は超しているだろうと思う。何がきっかけだったのか、集会の挨拶で「遠慮なく来てください」と言ったのかな?写真を必ず撮影させていただくことにしている。

 A  「カンバック!先生、ただいまぁ〜」の清掃担当の女子生徒たち。一緒の写真がないねという話になり、自撮りで撮影してくれた写真。とにかく彼女たちが来るだけで、部屋がパッと明るくなる。少々ブルーな気分でも、元気が出てくる。5月13日撮影

 B  「ねぇ、本当にやるの?」何かが始まるらしい。ドアの前の廊下に4人の女子生徒。中の一人が「うっ、うううっ」と言ってうずくまり、「先生っ!、これ」と言って、胸元からゴム製の心臓を取り出している。「もう10回以上やっているんです。誕生日プレゼントにもらったとかで・・・」ぜひ校長にも見せようということになったらしい。結構、楽しかったよ。4月18日撮影

 C 「今度、応援はこれでお願いします」野球部のキャプテン、副キャプテンである。応援用のTシャツを作ったので、校長にもぜひと保護者会の方々からの心遣いなのだという。この場をお借りしてお礼申し上げます。熱い夏が始まる。3年生の君たちは、あと何日みんなと野球ができるんだろう。高校球児としていられるのは何日間だろう?もちろん、甲子園の決勝の日までだよ。5月9日撮影

 D このパターンは珍しい。クラスの代表でやってきた。文化祭での企画にアドバイスがほしいという。彼らの考えた企画に、私が詳しいという情報が入ったらしい。ちっとも詳しくないのだが、聞いてみると、とにかく面白い。創造性があって、主催側も来客側も楽しめる企画である。ここまで考えられるのはすごいと思う。なんとか実現させてあげたくて、こういうスパイスを利かせばどうだろう、隠し味は・・・。逆に混乱させてしまったかな?5月16日撮影