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音楽 汗と涙と喜びのシンフォニー

11月17日(日) ほぼ毎日・校長 Vol.131 感動の3時間ステージ

  鍵盤に向かい伏せ目がちにしばらくあって、彼女の手は動き始めた。後悔した。「演奏する生徒たちの踊るような手の動き、ご覧になりたければあちらの席がよろしいかと」案内してくださった講師の先生がお勧めくださったのに、真正面の席に陣取ったことを後悔した。経験の少ない私には、演奏は歌声は聴くものという先入観があったのかも知れない。一人二人と演奏がなされ、美しい声を披露するごとに、観るものであり参加するものであることがわかってくる。
 腕からも手の動きは感じ取ること、見てとることもできた。さざ波のように指に連動して動く腕の筋肉。柔らかく優しい動きの中に、ピンと張り詰めた鋭さを宿している。鋭く突き進もうとする指の動きをセーブするように肩から二の腕が緩やかに動く。いや上半身全体を使って指の激しく強くなりすぎる動きに調和を与えようとしているかのようだ。鍵盤に直接つながる身体の一部は指、手であるが、奏でているのは全身であり、生徒たちの心、魂そのものだ。
 彼がオペラ座の怪人の一節を歌う時、掌を上に向けた腕を胸元から喉元に幾度も持ち上げる。心の高揚をさらに高めようとするかの如く。感動のピークは差し出した腕と手に見られた。一瞬彼の差し伸べた手と聴衆の手が結ばれたような錯覚があった。単なる錯覚ではなく、心のリレーションが創り上げた幻想だったのだろう。彼の心の高鳴りは私たちと共にあった。会場全体が包まれていた。
 挨拶で今日の演奏会は、彼らの汗と涙と喜びのシンフォニーだと紹介したが、偽りではない。日々部屋で聴くピアノの音色。同じところを何度も何度も繰り返す。苦悩の中で勝ち取った表現。そしてその集大成。それを「汗と涙と喜び」と表現して見た。美しかった。

 おめでとう、演奏会の成功。そして感動をありがとう。素晴らしい学校です、市原中央高等学校。

インフォメーション 感動をあらかじめいただきました

11月8日(金) ほぼ毎日・校長 Vol.126 笑顔の音楽コースの2人

 二階の第二音楽室で鳴っていたグランドピアノの音が止んだ。しばらくあって、ドアをノックする。「どうぞ」という誘いに、明るく笑顔で女子生徒2人が入ってきた。音楽コースの2人である。プログラムが出来上がったので、お礼方々きてくれたのだという。「今、ピアノを弾いていたのは?」と尋ねると、出演するみんなで通し練習をしていたのだという。「やりきった」が言える演奏会にしたいという。
 過日きてくれた後に、音楽の先生が訪ねてくださったことや、その先生の表情がなんとも言えず暖かかった印象を話すと、二人とも「私たちは幸せ者だ」と話してくれた。音楽の先生方が学校の「家族」のような存在なのだという。いいなぁ、生徒にそれを感じてもらえるだけでも、本校の誇りです。
 最近読んだ雑誌に載っていた神経細胞の話。神経細胞は「発火」で繋がりを持つ。その発火はどういう伝達になっているのか。光る時間の長短?光る強さ?長短であるなら、基準が必要だ。そんなものがあるのか?甲論乙駁している脳科学の世界に新しい光がさしてきた。その基準となるような、メトロロームのような細胞が見つかったという。発火のながさの基準となる細胞の発見。しかしそれは個人差がある。その個人差はリレーションで同調してくるのだというのである。
 音楽を聴く感動って似ていないだろうか。奏でる者の情熱や感動、これが伝播するには、発火の長さの基準の同調が必要なのでは?などと考えた。つまらない話しに付き合わせてしまった。『よくわからないけど・・・』という思い顔をしながらも「私たち音楽をやっていることは凄いこと?」
 そうなんだよ。音楽という繋がりの手段、同調の流れ、共鳴の方法をそこまで極めて、聴く者の感動を呼び覚ます。17才、18才でそれが持てていることは、自慢に値するよ。胸をはっていいです。

 16日(土) 定期演奏会。楽しみにしています。いい演奏会になってほしいですね。きっとできます。

晴れのち曇り 今日はすべてが内緒なんだねぇ

10月24日(木) ほぼ毎日・校長 Vol.121 サプライズ


 仲の良さそうな4人の生徒がやってきた。チャイムがなったばかりのお昼休み「いろいろお話があって来たんです」「なんだろう。入って入って」生徒の笑顔に心が暖かくなったのか、嬉しくなってウキウキしている自分がちょっと照れ臭いぐらいだ。『男子1人に、女子3人?』本校の生徒の組み合わせでは、それほど珍しくないのだが、ちょっと「?」。顔に感情が出やすいたちなのだろう、とてもポーカーフェイスは私には無理だ。もう高校生に心を読まれて、「あぁ、音楽コースの3年生です」と自己紹介された。「考えていることがあって、相談して、行こうってことになって、来ちゃいました」口を開いた一人の女子。途切れ途切れに語る経緯。『こんなこと話していいのかなぁ』という遠慮とためらいが感じられて、上品さすら感じさせた。「あのね、・・・」自分たちの企画?企て?もくろみ?挑戦?楽しいサプライズを語ってくれた。「先生だったら、賛成してくれます?」「後輩たちがね。『いいな、私たちも・・・』と思ってくれるものを作りたいんです」いいぞ、いいぞ。単なる思いつきやわがままではなく、きっとこうなるだろうという未来予想図を描いている。企画について、大人ながらの心配事をいくつか投げかけたが、ちゃんと答えも用意している。『すごいなこの子たち』と素直に思いながら、大いに賛成を伝えた。
 ご披露できないが、サプライズ。11月16日(土)の発表会でお披露目です。些細なことだけでど、自分たちや周辺を豊にする術を知っている。市原中央高等学校ってすごい。

部屋の上に第二音楽室があって、グランドピアノが置いてある。休み時間ごとに、ピアノの素晴らしい音色に囲まれて過ごしています。ありがとう。