どう声をかければいいのだろう 頑張ったね ありがとう
2019年8月9日 19時21分8月9日(金) ほぼ毎日・校長 Vol.85 吹奏楽部2年連続金賞ならず
訪ねてきた業者の方との話の中で、「私は『外伝』が好きなんです」という話をした。なんの話からそうなったのか?確か「授業」の話だったと思う。授業で本能寺の変を学んだ時、それが何年の出来事か、伝えられる史実はどうかというより、教師が語った「人間・明智光秀」の方がずっと心を打った。その行為に及んだ光秀のことを語った「祖父物語」の方が面白かった。伝聞形式の軍記物だから信ぴょう性に欠ける。もっともなのだが、概して正史は面白くない。外史、外伝の方が面白い。人が語られている。日本書紀より古事記である。まあ、そんな話をしたのだろうと思う。そんな授業が成立するお手伝い、進学校だから大学に受かるための知識や力はもちろん大事である。その一方で人の心や仲間のためをしっかりと捉えることができる生徒たちなのだから、それこそ「外伝」に導いてやるというような瞬間(とき)がたくさんあって欲しい。そんな話だったと思う。
それを語った時に、私の語る「生徒」は、吹奏楽部の諸君であった。確かなものとして、彼らを思い描きながら「そんな生徒だから・・・」と語っていた。8月6日に吹奏楽コンクールの予選が千葉文化会館であった。残念なことに仕事の都合で行けなかった。結果は銀賞。本選の出場がならず、三年生の最後の夏は終わった。野球部が快進撃を続け、その応援に駆けつけた吹奏楽部は、自らのための時間を削って「仲間のため」を貫いた。コンクールの前に行われた合宿では、忘れていた夏を取り戻すような暑さの中で、何人もの体調不良者が出たという。演奏の順番もくじ引きで、強豪校、本線常連校の間での演奏となったそうだ。それだけでなく、課題曲が同じであるのは当然だが、自由曲までもが同じであったと聞く。身を尽くした彼らに、運命の神様はなぜそんな試練を与えたのか。かけてあげられる言葉がない。ただ君たちの日ごろの努力と、「身を尽くし」の汗に「よく頑張った。ありがとう」とだけは言っておきたい。あのとき、私は市原中央高等学校吹奏楽部の「外伝」を読んでいたのかもしれない。目の前にある事実や事象だけでなく、その影にある「人間・吹奏楽部(の生徒たち)」の営みを感じ取っていたのかもしれない。
君たちの姿は、本校の誇りです。市原中央高等学校、充実の瞬間(とき)で満たされています。いいね。
文中の受賞「銀賞」受賞でした。ごめんなさい。訂正しておきました(By kotyo R01.08.10)