お祝い 「共時」の充実を図ると同時に「通時」の意味を深く受け止めよ

6月14日(金) Vol.47  生徒会新役員に期待すること

朝の打ち合わせ前に、生徒会役員の女子がきた。大きな黒い縁のメガネの奥の瞳が綺麗に輝いている。文化祭が近いので、文化祭パンフレットの巻頭言の原稿を依頼したいという。「いいですよぉ。で、いつまで?」「月曜日にはいただきたいのですが・・・」無茶振りを承知で笑顔でお願い。最短の依頼ではないだろうか。昨年度の巻頭言を見せていただく約束をしたが、?おやぁ?、7限が始まろうとするのにまだ来ない。替わりに昼休みに現生徒会長(琴音さま)が新会長を連れてやってきた。「本日の認証式のご挨拶、お願いします」彼女は本当に律儀である。必ず前もって依頼して、当日にもやってくる。見習うことが多い生徒である。さて、何の話をしようと思案して考え出したのが、伝播と伝承の話である。ちょっと難しい話だが、『うちの子なら大丈夫』と思った。

校長講話 生徒会新役員に期待すること

我々の文化には、通時的な流れ伝承と共時的な伝播がある。同じ時を過ごしながら、共に何かを協働で創造していく。人はおおいにしてその刹那に目を奪われ、目を向けがちである。しかし、その刹那の伝播のリングは、気づかない速度で動いている。ジワリ、ジワリと揺れながら動いている。それは「時の流れ」(通時)として認識することができる。通時にのみ目を向けると、年表のような味気ない年号の羅列になってしまうが、先の共時と組み合わせて、その瞬間(とき)を捉えるとき、先人の偉業や偉大さとその瞬間(とき)を生きた労苦を知り、喜びを知ることができる。さらには次に来たる者たちへの期待や活力に思いを馳せることができるのである。

生徒会の新会長は、入学授時に「今やりたいことをしっかりやりなさい」という当時の校長の言葉に背中を押されるように、会長に立候補したと聞いている。先に話をした、君たち新役員が担う「共時」の充実を果たすとともに、「通時」の意味を深く受け止め、市原中央高等学校の「伝統」を築いていただきたいと思う。平野さんをはじめとする旧役員の皆さま、本当にありがとうございます。新役員の皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。

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