晴れ 久しぶりにはしゃぐ声を聞いた

9月17日(火) ほぼ毎日・校長 Vol.105 生徒のいる学校が一番
 「人間贅沢をすると、後戻りができない」祖母がよく語っていた。心が満たされると、その満たされたもの以上が欲しくなる。満たしていたものがなくなると、ぽっかり穴が空いたようになる。台風15号の被害で臨時休業を続けていた本校は、そんな感じだったのだろう。当然あるべき、あって普通のものが目の前からなくなってみると、本当に辛いもので、あって普通のものがどれほど大切だったか気づく。授業の合間の休憩時間、昼休み、放課後、生徒たちの喧騒は、何重奏もの音楽のようなもの。映画「奇跡のシンフォニー」の主人公の少年が街に出て聞いた「音」はこんなものだったのかもしれない。ただうるさい雑音が、重なって重厚な心に響く音楽となる。11年間離れ離れになっていた絆を結びつける音楽の才能を持った彼の耳ほどではないが、天賦のものとまでも言わないが、長年の教員生活があそう感じさせるのだろう。生徒たちの喧騒は、我が力なり。

 生徒がいる学校って、やはりいい。生徒がうるさい学校って、とてもいい。

 写真は、試合の抽選結果を知らせに来てくれた野球部の二人。「21日は敬愛学園戦です。それに勝つと23日に・・・楽しみです」と笑顔で報告してくれた。「残念ながらどちらも仕事だ」と残念がると「予報では、どちらも雨です」「お前ねぇ」と掛け合い漫才をやっていた。初めて来た時より緊張がない。いいぞ、いいぞ。
 「先生、進路のトライアングル、やっているうちに変わったの、どうしよう。何かになるために学ぶのではなく、大学で学びたいものが見つかりそうなの」と、臨時休業前に書いたメモ書きを大切そうに持ってきた女子生徒。どうやら一歩あゆみを進めたようである。「そう、じゃぁも少し考えてみよう。今君が陥った陥穽(落とし穴)は、三つのリングで説明できる。ほらね、大学生活のトライアングル。円の交わりが学生生活なんだ。」といって説明を始めると、「そんな考え方初めてだ。面白い」といって、今日のメモも大切そうに持って帰った。また一歩進むのだろうか?楽しみである。

 ただ与えられるだけでなく、与えられたものを糧に成長してくれる本校生徒は、やはりすごいと思う。

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