晴れ 悪いことばかりじゃない?Part2

4月23日(木) ほぼ毎日・校長 Vol.166 そんな風に捉えることができないいまだけど

 人間のもつ大切な力の発現、そんな内容のことを書いていて、どこからともなく聞こえてくる「すき焼きソング(上を向いて歩こう)」に記憶が刺激された。
 演出家の宮本亞門がさんリーダーとなって「上を向いて〜SING FOR HOPE プロジェクト」、新型コロナウイルスと闘っている方、医療従事者の方に希望を届ける取り組みを行なっていることを知っている人も多いだろう。自分が闘病生活に苦しんでいるとき、歌が元気付けてくれた。頑張っている人々、苦しんでいる人々へのエール。自分たちにできることは何かないか。そう考えたときに坂本九さんの「上を向いて歩こう」をみんなで歌い続けようじゃないかと考えた。実行した。
 この歌にはちょっと思い出がある。もう10年以上も前に勤務した学校の校歌が、中村八大の作曲だった。もうお亡くなりになったが、親しくしていただいていた北総にある大きな総合病院の院長さんが、病気で入院している子どもたちの院内学級開級式でお聞きになって「いい校歌ですね。包み込むような、心が洗われるような。いいですね。子どもたちが頑張ろうって気になります。」と褒めてくださったのをよく覚えている。「中村八大さんの作曲です」とお伝えしたところ、「どおりで」と納得し、深くうなづいておられた。
 3.11東日本大震災の時も、阪神淡路大震災の時も、被災した人々、応援する人々、見守る人々、誰も誰もがこの歌に元気づけられた。先日、NHKの番組で、取り上げていた。古く南米に移住した日本人たちがアイデンティティを感じた歌。永六輔作詞の歌詞には主語がない。誰でもその歌の中に「主」として入り込み、苦境や苦難の中にあって「上を向いて歩こう」と語れる歌、口ずさめる歌。すごい歌だと思う。

 「いま」という瞬間(とき)を駆け抜けている君、立ち止まって口ずさんでみませんか?『悪いことばかりじゃない?』そんな風に捉えることができないいまだけど。